経済

2025.11.13 13:00

2026年に天然ガス価格が上昇すると言えるこれだけの理由

液化天然ガス(LNG)輸送タンカー(Getty Images)

天然ガスの新たな需要

天然ガスの新たな需要も生まれつつある。AIと大規模なデータセンターの成長は、安定したエネルギー需要を生み出している。稼働時間の確保と炭素排出量の削減のため、多くの大規模事業者はディーゼル発電機ではなく、現地設置型の天然ガスタービンを導入している。米調査会社イーストデーリー・アナリティクスは、これにより、30年までに1日当たり最大1億7000万立方メートルのガス需要が生じると推計している。

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また、世界のLNG貿易も拡大を続けている。欧州がロシア産パイプラインガスからの脱却を進める一方、アジアでは産業の成長が持続しており、米国は世界最大のLNG輸出国としての地位を強化している。これらの条件が相まって、天然ガスは移行期の燃料からデジタル経済と世界貿易の基盤へと変貌しつつある。

天然ガスの課題

天然ガスにも課題がないわけではない。価格は天候に左右される需要変動や国際情勢の影響を受けやすい。特に炭素価格設定とメタン規制に関する政策の不確実性により、コストが上昇し、競争力に影響を及ぼす可能性がある。新規パイプラインや液化プロジェクトは適時の許可と資本の投入に依存するため、社会基盤整備の遅れもリスク要因として残っている。

それでもなお、基盤は堅固だ。再生可能エネルギーの導入が目標達成に苦戦し、原油価格が周期的な低迷に陥る中、天然ガスは信頼性、手頃な価格、成長可能性を兼ね備えている。

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投資家向けの要点

投資家にとって、天然ガスには複数の魅力的な機会が存在する。

・ 上流:主要な天然ガス生産国およびLNG輸出国は、世界的な需要の増加から最も直接的な恩恵を受ける立場にある。
・ 中流基盤:パイプラインや貯蔵施設の運営会社は輸出量の増加に伴い、処理量の拡大とキャッシュフローの強化が見込まれている。
・ 統合的な移行戦略:ガス資産に加え、炭素回収技術や水素混合技術に投資する企業は、移行期を通じて持続的な回復力を享受できる可能性がある。

変動性は避けられない要素ではあるものの、天然ガスは現在のキャッシュフローと長期的な移行テーマの両方へのエクスポージャーを求めるポートフォリオの基盤であり続けている。

結論

炭素排出実質ゼロを目指す世界で、天然ガスは不可欠な存在であることが証明されつつある。天然ガスは家庭や産業、データセンターに電力を供給し、LNG貿易を通じて大陸をつなぎ、化石燃料と再生可能エネルギーの橋渡し役を果たす。

原油価格が低迷し、再生可能エネルギーの成長が鈍化する中、実用的かつ収益性の高いエネルギー源である天然ガスが明るい兆しとして浮上している。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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