暗号資産

2025.11.13 10:00

ビットコインが「1000倍になる」時代は終わった──“大人”になった暗号資産

Silas Stein/picture alliance via Getty Images

ETFや機関投資家が主導する「成熟期」に入り、需給が安定

ソーンも同様の指摘をしている。ビットコインは今、「成熟期」に入っており、ETF、パッシブ運用ファンド、機関投資家などによる資金が、モメンタムを重視したトレーダーの資金よりも大きな役割を果たすようになっているという。そのため、価格が下がればETFによる安定した買いが入り、上がれば長期保有者の売りが出ることで、市場のバランスが保たれる。

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2021年と異なり、個人投資家の熱狂が冷めテーマの中心はAIへ

今年の市場は2021年とはまったく異なる。個人投資家の大規模な再参入は見られず、あってもミームコインをめぐる短期的な投機にとどまっている。高いレバレッジをかけていた投資家も10月10日の暴落で打撃を受けた。ギャラクシーおよびコイングラスのデータによれば、暗号資産先物の買い建玉は10月6日の2200億ドル(約33.9兆円)から10月11日には1420億ドル(約21.9兆円)へと急減したという。また、主要100コインのうち72コインが、過去最高値から50%以上下落している。

そして、2025年に最も注目を集めているテーマは、ビットコインではなくAIだ。

だが、皮肉なことに、ビットコインが投機の中心から外れた今こそ、より持続的な資産としての地位を築くチャンスかもしれない。

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年金基金や保険会社が買い手として検討、資産の役割が変化している

注目すべきは、いま誰が買っているかという点だ。世界で最も慎重な資金である年金基金や保険会社が、5年前なら完全に退けていたであろうビットコイン投資を検討している。一部の企業の財務部門も、金と同様の理由、つまり分散と長期的安定という観点から再びビットコインを見直している。モルガン・スタンレーは最近、顧客にビットコイン投資を勧める際にはその顧客の資産が150万ドル(約2億3000万円)以上でなくてはならないという従来の条件を撤廃し、すべての顧客が資産の4%までを暗号資産ETFに配分できるようにした。

市場が成熟するのは、買い手が退屈になり売り手が歳をとる時

このどれもが、急上昇を続けるチャートほど刺激的ではないが、はるかに意義深いものである。市場が成熟するのは、花火が上がるときではなく、買い手が退屈になり、売り手が歳をとる時なのだ。もしビットコインが今後、金や株式と同じ資産クラスとして生き残るなら、これこそが通るべき道である。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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