北米

2025.11.12 09:00

トランプ米大統領、世論調査は「偽物」 国民の物価上昇懸念を一蹴

米国のドナルド・トランプ大統領。2025年11月10日撮影(Anna Moneymaker/Getty Images)

米国のドナルド・トランプ大統領。2025年11月10日撮影(Anna Moneymaker/Getty Images)

ドナルド・トランプ米大統領は10日、米保守系FOXニュースのインタビューで、米国人の大多数が自身の経済状況を不安視しているとの世論調査結果は「偽物」で、「民主党による詐欺」だと訴えた。

今月初めに実施された世論調査では、米国人の4分の3以上が自身の経済状況に不安を感じていると回答。国民の大多数はトランプ政権下で家計の支出が増えたと答え、物価上昇の責任は同大統領にあると考えていた。一方、トランプ大統領は、国民が経済に不安を感じているとは考えていないと一蹴した。同大統領は「国民がそう(経済に不安があると)言っているなんて聞いたことがない」と述べ、「世論調査は偽物だ」と切り捨てた。

トランプ大統領が1月に就任して以降、家庭用の電気代や家具、家電製品、食品などの価格が上昇しているという明らかな証拠があるにもかかわらず、同大統領は物価が大幅に下がっていると主張した。同大統領は4月以降、ガソリン価格が「間もなく」1ガロン(約3.8リットル)当たり2ドル(約308円)まで下がると繰り返し主張しているが、米自動車協会(AAA)によると、レギュラーガソリンの全国平均価格は1ガロン当たり3.07ドル(約473円)となっている。米ミシガン大学が7日に発表した消費者心理指標は50.3で、2022年6月に記録した過去最低値に迫る、3年ぶりの低水準となった。

億万長者のトランプ大統領が物価上昇に対する国民の懸念を退けたのは今回が初めてではない。先週の一連の選挙で共和党が惨敗したことを受け、同大統領は、経済の問題は民主党が作り出したものだと主張。自身が創設したSNSのトゥルースソーシャルに「うそをつくのはやめろ!」と投稿した。同大統領は最近、経済について事実とは異なる主張を展開している。例えば、「インフレなどほとんどない」(春以降インフレは加速している)、「食品価格が下落している」(24年9月~25年9月にかけて食品の平均価格は2.7%上昇した)、「ガソリン価格は数十年ぶりの安値だ」(実際には過去の方が大幅に安かった)などだ。

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翻訳・編集=安藤清香

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