北米

2025.11.12 08:30

米上院が「つなぎ予算案を可決」、史上最長の政府閉鎖が終息へ

Getty Images

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米上院は現地時間11月10日夜、連邦政府再開に向けた法案を可決した。10日時点で政府閉鎖期間は41日目に達しており、史上最長記録を約1週間更新している。

同法案は上院で賛成60対反対40の票差で可決されたが、いまだ下院とドナルド・トランプ大統領の承認を必要としている。しかし、トランプはすでにこの法案を支持する意向を示している。

上院民主党議員のうち8人が党派を超えて法案を支持した。

この法案は、政府予算の執行を1月まで延長し、閉鎖により一時的に解雇されていた数千人の連邦職員を復職させる内容となっている。

下院議長のマイク・ジョンソン(共和党、ルイジアナ州選出)は今回の採決前、「下院は12日に上院法案を審議する可能性がある」と述べていた。

11月初めには、米国で食料支援を行う補助的栄養支援プログラム(SNAP)の資金が停止され、米農務省は公式サイト上で「井戸は枯れた」と発表した。これを受けて、給付金の支払いを求める多数の訴訟がトランプ政権に対して起こされ、カリフォルニア州やニューヨーク州など一部の州では、裁判所命令により11月分のSNAP給付金の全額が支払われることになった。しかし、トランプ政権は最高裁に対し、全額給付を阻止するよう求めている。

また、ここ数週間で、数万件におよぶ航空便の遅延、数時間におよぶ待ち時間、そして人員不足により複数の空港が混乱に陥っている。航空管制官たちは10月末にはじめて給与の全額を受け取れず、11日に予定されている給与の支払いも滞る見通しだ(米連邦職員給与の多くは標準では隔週払い)。管制官のグループはフォーブスに対し、「1日10時間勤務を週6日続けているため、休暇を取らざるを得ない者も出ている」と語った。

政府閉鎖は運輸保安局の職員不足も招いた。空港での人手不足が深刻化する中、連邦航空局は航空各社に対し、主要40空港で運航する便数を10%削減するよう命じた。ショーン・ダフィー運輸長官は7日、「今後数週間で人員不足がさらに悪化すれば、減便率は20%に達する可能性がある」と述べた。

今回の歴史的な政府閉鎖は10月1日に始まった。議会が政府支出を維持するために必要な歳出法案の可決に失敗したことが原因だ。この法案をめぐる最大の対立点の1つは、医療保険制度改革法(オバマケア)に関連する補助金の延長をめぐるものだった。民主党は年末で期限切れとなるこれらの補助金を1年間延長するよう主張したが、共和党は譲らなかった。

今回、政府再開法案を支持した一部の民主党上院議員は、医療保険税控除の延長に関する採決を12月中旬に行うという確約を得たうえで賛成に回った。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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