戦略を成功に導く要素を再定義する
戦略の質は、「未来をどれだけ正確に予想できるか」という点で決まると考えるのは、人々が陥りやすい罠だ。実際には、これが優劣を決めることはめったにない。戦略の質は、未来が予測と違う結果となった時に、どれだけ素早く対応できるかという点にかかっている。
軌道修正のスピードやその効果によって測定
こうした戦略を立案するには、まずは「成功」に関してイメージされるものを再定義する必要がある。戦略の価値は、当初の計画に従っているかどうかではなく、むしろ軌道修正のスピードやその効果によって測定されるべきだ。これによって、柔軟さは弱さの表れではなく、強さの証拠として捉え直される。
集団での学びのキュレーター
これにはまた、リーダーの役割の転換も必要だ。リーダーは、計画を守り抜く者として行動するのではなく、集団での学びのキュレーターになるのだ。情報が素早く流れ、前提条件がオープンに議論され、現実の変化に合わせて意思決定も進化していくよう取り計らうのが、リーダーの役割になる。
「いかに方向性を保つか?」と問う
このような役割を受け入れたリーダーは、自身が率いる組織が「計画の罠」に陥ることを防ぎやすくなる。リーダーは、「どうやってこの計画を守り抜こうか?」と問うのではなく、「状況に柔軟に対応しながら、いかに方向性を保つか?」と問うようになる。こうした微妙なシフトはすべてを変える。戦略を氷づけにすることなく、生きたものとして維持するようになるのだ。
最も価値あるスキルは、変化に対応する柔軟性
不確実な環境において、最も価値あるスキルは、未来を予想する能力ではなく、変化に対応する柔軟性だ。計画は、使いようによっては有用なツールだが、それが有用であるのは、揺るぎない土台としてではなく、あくまで仮の足場として扱われた場合のみだ。計画は、固定的なものになった瞬間に、戦略であることをやめ、リスクとなり始めるのだ。


