リーダーシップ

2025.11.14 15:00

厳密な計画は変化への適応を損なう──リーダーはバランスをどう獲得するか

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「変化への適応」を中心軸にして戦略を構築する

厳密な計画に代わる選択肢は、混乱ではない。しっかりとした構造を持ちつつ、変化に適応する戦略だ。優れた戦略は、将来像を縛ることなく、柔軟に対応する姿勢を作り出す──それは、方向性を定めつつ、改善プロセスを繰り返し実施できるようなゆとりがあるということだ。

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モジュラー単位の計画策定

このような柔軟性を構築する方法の1つが、モジュラー単位の計画策定だ。リーダーは、直線的な進歩を前提とする長期的なロードマップではなく、達成すべきイニシアチブを、短期で検証可能な要素(モジュラー)に分割できる。これらの要素は、新たな情報が現れるたびに、調整したり差し替えたりすることが可能だ。この方法を採用すれば、組織は、一貫性を失うことなく方向転換ができるようになる。

選択肢のポートフォリオ

もう1つのアプローチは、戦略を単一の大きなコミットメントではなく、「選択肢のポートフォリオ」として捉えるやり方だ。ベンチャーキャピタル(VC)はこの手法を採用している。VCはリスクを、いくつかの選択肢に配分した上で、どこかの選択肢がうまくいっていることを示す証拠が出てきた時にのみ、そこにさらなる労力を投じるという判断を下す。

VC以外の企業も、同じロジックを使えるはずだ。1つの戦略的道筋にすべてを賭けるのではなく、複数の道筋を設ける。そして、より小さく、撤回も可能ないくつかの選択肢を試し、うまくいったものは規模を拡大し、それ以外は撤退すればいい。

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「学んでいること」を記録する

リーダーはまた、チームメンバーに対して、自分が「行なっていること」だけでなく、「学んでいること」を記録するよう促すこともできる。このように記録対象を変えることで、プロジェクトの進展を評価する基準は、実行スピードから、知見の生成へと変わる。「学ぶこと」が価値あるものとして認められている環境であれば、方向転換は失敗ではなく、むしろ進展として評価されるはずだ。

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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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