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2025.11.17 11:30

AIエージェントの導入で成功した企業は、「これ」が異なる

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後払い決済(BNPL)サービス大手のKlarna(クラーナ)は、AIエージェントに関して高くついた教訓を得た。職務全体を自動化すると、数カ月後に同じ従業員を再雇用する羽目になる可能性が高いということだ。積極的な自動化を進めた同社は方針を転換し、AIエージェントが成果を出せなかった領域で人間の従業員を呼び戻したのだ。

成功と失敗を分けるのは、「特定タスクの自動化」と「職務全体の置換」

同様のパターンは産業界全体で起きている。50件超のAIエージェント導入事例を分析したマッキンゼーによれば、早期に成功を収める企業もある一方で、より多くの企業が投資から価値を引き出せずに苦戦し、エージェントが失敗した領域で人員を戻す(再雇用する)事例すらあるという。成功と失敗を分けるのは、しばしば1つの戦略的選択である。すなわち、成功する企業は再設計したワークフローの中で特定タスクを自動化する。これに対して、失敗する企業は職務そのものの全面的な置換を試みる。

AIエージェントを使った最適なアプローチが、半年前とは異なる可能性

もっとも、状況は急速に変化している。スウェーデンの金融企業Gilion(ギリオン)の共同創業者でCPTO(最高製品・技術責任者)であるヘンリク・ランドグレンは、半年前の意思決定がすでに時代遅れになっている可能性を指摘する。私との対談でランドグレンは「エージェント型AIの使い方については、世界が生成AIや機械学習について語ってきたのとは異なる観点で議論しなければなりません」と語った。

82種類のAIエージェントで投資分析を構築する

Gilionは、企業がゼロベースでアプローチを再考した場合に何が可能になるかを示している。同社は、投資家や貸し手がより良い意思決定を行えるようデータを活用しており、決済、マーケティング、会計、製品利用という4種類の情報を収集する。機械学習は12カ月予測で90%の精度を示す。しかし、生成AIとエージェント型AIの導入は、ランドグレンが達成可能だと考えていた水準を一変させた。

「この6カ月で登場した生成AIとエージェント型AIは、素晴らしいことに、当社のプロダクト体験と顧客への提供価値を指数関数的に高める助けになりました」とランドグレンは語った。

この転換は、Gilionの製品ビジョン全体を変えた。当初、ランドグレンは同社が定量データ分析に専念し、定性的な調査は投資家に任せると想定していた。だが生成AIとエージェント型AIがその制約を取り払った。

「生成AI、特にエージェント的な能力によって、私たちがコントロールできる『エージェントの軍隊』で構成される、投資メモのインタラクティブ版を作成できると分かりました」とランドグレンは説明する。同社は現在、包括的な投資分析プロセスの一部として、82種類のAIエージェントを展開している。

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翻訳=酒匂寛

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