北米

2025.11.12 12:30

トランプ商標のワインを米政府機関の免税売店で販売、拡大止まらぬ「大統領ビジネス」

米首都ワシントンの沿岸警備隊本部で指揮権移譲式典に出席するドナルド・トランプ大統領(Olivier Douliery-Pool/Getty Images)

米首都ワシントンの沿岸警備隊本部で指揮権移譲式典に出席するドナルド・トランプ大統領(Olivier Douliery-Pool/Getty Images)

ドナルド・トランプ米大統領の2期目就任を積極的に利用して事業拡大を加速させている一族企業、トランプ・オーガニゼーションが、米軍関係者向けの免税売店にも手を広げていることが明らかになった。米軍の一部門と位置付けられている沿岸警備隊(USCG)が運営する売店では、隊員やその家族が日用品を免税で購入できるが、そこで「トランプ」の名を冠したワインとシードルが販売されていた。

インスタグラムに投稿された写真から「トランプ・ブランド」の酒が販売されていることが判明したのは、首都ワシントンのUSCG本部とバージニア州センタービルの基地にある売店。フォーブスが各店舗に電話で確認したところ、ワインもシードルも最近仕入れた商品だという。

USCGを管轄下に置く国土安全保障省のトリシア・マクラフリン次官補はフォーブスの取材に対し、売店でトランプ・ブランドの酒を取り扱っていることを認め、「USCGに所属する勇敢な男女は、トランプ・ブランドのワインとシードルを免税で購入できることを喜んでいる」と述べた。

ゴルフ場のマーカーに大統領の紋章を使用したり、大統領専属カメラマンの写真集を75ドル(約1万1500円)で販売したりと、大統領の肩書きに便乗したビジネスには枚挙にいとまがないトランプ一族だが、米政府機関の施設でトランプ・ブランド製品が販売された事例はほとんどない。

ホワイトハウスは本件に関する詳細についてはUSCGと国土安全保障省に問い合わせるよう求め、USCGは国土安全保障省の判断に委ねると回答し、トランプ・オーガニゼーションは取材に応じなかった。

米軍の免税売店での「トランプ製品」販売は合法か?

「法的には問題ないかもしれないが、人々の受け取る印象と倫理上の問題はある」と、米政府の不正を監視する非営利団体「ワシントンの責任と倫理のための市民団体(CREW)」のジョーダン・リボウィッツは指摘する。

合衆国憲法は、現職大統領が政府から給与以外の報酬や利益を受け取ることを明確に禁止している。ただ、トランプ・ブランドの酒の販売がこの憲法規定に抵触するかどうかは、リボウィッツによれば酒の仕入れ方法によるという。大統領と副大統領は、連邦政府の利益相反規定の大部分を免除されている。

それでも「米軍が実質的に特定の陣営の側に立つ状況は望ましくない」とリボウィッツは批判し、「他の大統領の下でも同じことをするだろうか。変な話だ」と述べた。

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翻訳・編集=荻原藤緒

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