北米

2025.11.12 12:30

トランプ商標のワインを米政府機関の免税売店で販売、拡大止まらぬ「大統領ビジネス」

消えたトランプの自制心

トランプは1期目の任期中には、大統領の肩書きを利用して利益を得ることを控えていた。だが、その自制心は2期目では消え失せてしまった。フォーブスの推計では、トランプの純資産はこの1年間で約30億ドル(約4600億円)急増し、その大半は仮想通貨事業に基づくものだ。しかし、富の源泉は有形資産にも及んでいる。

SEE
ALSO

マネー

ドナルド・トランプ大統領、本当の資産額は?

トランプ・オーガニゼーションの通販サイトTrumpStore.comは、1期目には大統領関連商品をほとんど扱っていなかったが、現在は45~47種に上るコレクションのほぼ全品を展開している。今月5日にはライセンス販売業者を通じたトランプ銀貨の第二弾発売も発表した。最高460ドル(約7万円)で販売される銀貨の表面には、トランプの横顔と「合衆国大統領」の文字が刻まれている。

「再入荷予定はない」

USCGの売店がいつからトランプ・ブランドのワインを販売しているのか、販売実績はどうか、他の米軍施設や政府関連施設の売店でもトランプ製品の取り扱いがあるのかなど、詳しい実態は掴めていない。フォーブスが取材した2店舗は、仕入れた分は完売したと回答し、うち1店舗は「再入荷予定はない」と述べた。

米バージニア州シャーロッツビルにある「トランプ・ワイナリー」で生産された赤ワイン(Andriy Blokhin / Shutterstock.com)
米バージニア州シャーロッツビルにある「トランプ・ワイナリー」で生産された赤ワイン(Andriy Blokhin / Shutterstock.com)

大統領在任中も事業の支配権はトランプが保持

トランプは2017年の1期目就任直前に、担当弁護士だったシェリ・ディロンに対し「大統領職を私的な利益のために利用していないことを明確にするため、現実的に可能なあらゆる措置を講じるよう指示した」とされる。この時利用した「ドナルド・J・トランプ撤回可能信託」を通じて、トランプは2期目の在任中も自身の事業から収入を得ることができる。トランプはこの信託の唯一の寄付者兼受益者であり、長男のドナルド・トランプ・ジュニアが受託者を務めている。

トランプの最新の財務情報によれば、この信託はトランプが2011年に買収したバージニア州シャーロッツビルにあるワイナリーの土地の100%とワイン関連の商標を保有する有限責任会社(LLC)を所有している。「トランプ・ワイナリー」の商号を所有するこのLLCは、社名にトランプの次男エリック・トランプの名を冠し、エリックが社長を務めている。フォーブスはこのワイナリーの価値を約4400万ドル(約68億円)と見積もっている。

トランプ・オーガニゼーションは、4月に英国の規制当局に提出した書類の中で、トランプが大統領在任中も事業の支配権を保持していることを認めた。

USCGの売店は米政府が運営する小売店であり、国防予算には依存していない。沿岸警備隊員や現役・退役軍人、軍属の従業員らは免税で商品を購入できる。なお、米国立公文書館の売店では現在トランプの著書の1冊を販売しているが、この売店は公文書館と提携する独立した非営利団体によって運営されている。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事


advertisement