たとえ人生の早い時期に明確な才能が現れたとしても、その才能は育てなければ最大限に発揮されないかもしれない。加えて、人生の初期に特定の分野で強みを発揮しても、その後は異なった形で成長することになるかもしれない。これは学業や仕事でどのような成績を収めるかだけでなく、社会性と自他の感情を管理する能力にも当てはまる可能性がある。
優れた才能を持つ生徒の学業の成果に関する新たな研究が2つ発表され、才能ある生徒が自分の才能開発における通常よりも速いペースで進められる教育プログラムの役割をどのように認識しているかについて調べている。
才能ある子どもたちが成長したときにどうなるのか、縦断的研究で何がわかっているのだろうか。専門誌『Gifted Child Quarterly(ギフテッド・チャイルド・クォータリー)』にこのほど掲載された米アーカンソー大学のアル・マンソール・ヘラルが主導した新しい研究は教育的成果に焦点を当てており、この疑問に関するいくつかの新しい証拠を提供している。
研究では、アーカンソー州の2014〜2019年度の18万4515のサンプルを調査し、特に才能があると認められた生徒の進学状況を調べた。研究では、才能のある生徒は年齢相応に発達している生徒に比べて大学に進学する傾向が強く、競争率の高い大学に進学する可能性が65%高いことがわかった。
才能ある子どもの縦断的調査に関する広範な研究でも見られるように、この研究結果は早い段階で高い学力が認められると大学進学率が高くなるだけでなく、一流大学への進学率も高くなり、50歳までに種々の素晴らしい成果を達成できることを示している。この結果は一般人口を代表するサンプルを調べた複数の研究とも一致している。
米ヴァンダービルト大学のガブリエラ・ノリーンが主導した別の新しい研究は、『Study of Mathematically Precocious Youth(数学的に早熟な子どもに関する研究)』の一環として極めて才能の高い生徒の複数のグループを調査し、知能が高い子どもが大人になったときの教育的経験や考え方を調べている。研究結果は『Gifted Child Quarterly』に掲載された。
質的研究手法と量的研究手法を組み合わせたこの研究では、加速教育、すなわちカリキュラムを一般的なものよりも早く進めることが実際にこれらの知能が高い子どもたちの多くにとって適切であることがわかった。そしてこれらの才能ある子どもたちは大人になってから、加速教育の経験が学業だけでなく社会的にも有意義だったと指摘していた。
これらの研究は、才能ある子どもがその能力を最大限に発揮できるよう、どのようにそうした子どもを識別し、教育的に支援するのがいいのかを示している。簡単に言うと、才能ある生徒が適切な支援を受けられるようにし、社会的なニーズにも応えながら常に挑戦し、能力を伸ばせるような教育環境を整えなければならないということだ。



