専門知識を積み重ね、出世の階段を1段1段と上るうちに、ふと気が付いたら50歳を過ぎていた。そんなあなたにある日、かつては活力の源だった仕事が、重荷のように感じられるときが訪れる。きっかけは燃え尽きかもしれないし、リストラかもしれない。あるいは、この先10年も現在の仕事を続けていくなんて無理だ、と気づいてしまった可能性もある。
通説に反し、50歳を過ぎてからキャリアを転換しても、決して遅すぎるということはない。実際、調査では、50歳を過ぎてからキャリアを転換すると収入が増えるという傾向が示されている。経済協力開発機構(OECD)によると、自発的に転職した45歳から54歳の労働者の平均的な賃金上昇率は7.4%だった。55歳から65歳の労働者でも、賃金は平均して3.5%増えている。
50歳を過ぎてからのキャリア転換は、夢を追いかけるためではない。中年の危機に陥ったということでもない。それよりも、自分が本当にやりたいことがようやくわかり、仕事と人生の舵を自らの手に取り戻すための行動なのだ。
50歳を過ぎた今が、キャリア転換に最適である理由
50歳を過ぎてから、衝動でキャリアを転換するという人は滅多にいない。たいていは、リストラに遭ってその後の人生を再考せざるを得なくなったとか、何年も前から少しずつ燃え尽きつつあった、あるいは、家族の介護などで柔軟に働ける仕事が必要になったという理由がある。場合によっては、ただ限界に達したとか、「現在の仕事」と「望んでいた人生」の差があまりにも大きすぎて、もはや無視できなくなったという人もいるだろう。
きっかけが何であろうと、キャリア転換にあたっては、次のような重要な問いに向き合わざるを得なくなる。
・自分が心から「次にやりたい」と思っていることは何か
・自分に活力を与えてくれるのはどんな仕事か
・恐れることが一切なかったら、自分は何をするか
こうした問いかけへの答えを出せれば、次にやるべきことはおのずと見えてくる。



