サイエンス

2025.11.11 18:00

梅毒の起源の謎と、「コロンブス交換」の波及効果

中世の梅毒の治療の様子(Shutterstock.com)

リアルタイムでの進化

興味深いことに、コロンブス交換によって導入されたこの梅毒の初期の株は、現代の株よりもかなり攻撃性が高かったと見られる。歴史記録からは、数週間以内に発症し、しばしば死に至ったことがうかがえる。しかしこの病気は、続く数十年の間に、比較的軽度でより慢性的な形態へと進化した。それがやがて、現代の私たちが知るような、最初に腫れ、次に発疹が生じる、潜伏期間の長い梅毒になった。

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生物学的な観点からすると、これは理にかなっている。宿主を殺すのが早すぎる病原体は、さらなる伝染と繁栄の機会を自ら制限してしまう。その点で自然選択は、毒性の低い株、つまり、宿主がより長きにわたって性的な活動を保てるものに味方する。性感染症である梅毒が現在のような病気になったのは、突き詰めればそのおかげだ。この細菌は事実上、あっというまに燃え尽きるのではなく存続するすべを「学んだ」のだ。

これとそっくりのパターンは、ほかの感染症でも見られる。こうした感染症では、新たな宿主集団で生じた最初のアウトブレイクは重篤でも、時が経つうちに安定する傾向がある。

これは、生物学者が「トレードオフ仮説」と呼ぶものの典型例だ。『Journal of Evolutionary Biology』誌に掲載された研究論文で説明されているように、これはつまり、たいていの病原体は、「効率的な伝染」と「宿主の死亡率」との間でバランスをとるように進化する、とする考え方だ。

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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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