人口減少と地域経済の衰退が進む日本において、革新的な事業を生み出すスタートアップ企業は、地方創生の起爆剤として大きな期待が寄せられている。しかし、その期待の大きさとは裏腹に、全国の自治体を対象とした意識調査からは、スタートアップを巡る理想と現場の現実との間に、深い溝があることが浮き彫りとなった。
全国で起業支援を行うツクリエの「起業支援白書 2025」によれば、自治体職員の起業支援に対する意識は、94.9%もの自治体が「起業支援のための施策を積極的に推進すべき」と回答しており、極めて高い水準にある。

しかし、この強い意欲と並行して、施策の現状に対する自己評価は低く、56.3%の自治体が、現行の起業支援施策は「不十分」であると回答した。この「支援したいができていない」というギャップの背景には、「起業支援に知見やノウハウを有する職員が不足」「業務が多忙で職員数の確保が困難」「予算の確保が困難」といった人員、ノウハウ、予算の確保に課題があるようだ。

自治体はスタートアップに対して、地域課題の解決や経済波及効果の観点から、81.3%が「期待する」と回答している。しかし、実際にその地域内でスタートアップが生まれているか、という点については厳しい結果が出た。自治体内のスタートアップの存在率は「1%程度」が最多であり、そもそもスタートアップの定義や実態を「把握していない」自治体が54.3%と過半数を占める。





