健康

2025.11.14 08:15

「ごみ出し」を「集いの場」に。高齢者の要介護リスクが低減

Getty Images

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日常的な「ごみ出し」の場所を高齢者の集いの場にする。そんな取り組みが、要支援、要介護のリスクを大幅に低減させることが1年間にわたる実証実験で明らかになった。利用者の外出、人との交流、地域活動参加の機会が増加して高齢者が活き活きと暮らせるようになるばかりか、地域の介護負担の低減が期待される。

持続可能な地域運営への移行戦略支援などを展開するアミタホールディングスは、互助共助コミュニティ型資源回収ステーション「MEGURU STATION」を全国に展開中だ(2025年4月時点で全国5地域16か所)。資源回収場に人々と交流できるベンチを置き、野菜販売やイベントを開催したり、地域ボランティア活動と結び付けたりと、「日常生活に社会参加を組み込む仕掛け」だ。すべての住民からの距離がとても近いコミュニティー拠点というわけだ。

千葉大学予防医学センターの阿部紀之特任研究員らによる研究グループは、その利用と高齢者の要介護リスクとの関連を検証した。奈良県生駒市の1地区と福岡県大刀洗町の2地区で、同地区に開設された「MEGURU STATION」について、65歳以上の地域住民973人を対象に調査を実施。参加者には、コミュニティ拠点開設前と開設1年後の2回、アンケートに答えてもらった。

その結果、拠点利用者は187人(19.2パーセント)だが、1年後、利用者の要介護リスクは、利用しない人にくらべて平均1.2ポイント低下した。これは将来、要介護認定されるリスクが約15パーセント低下したことに相当するという。

さらに、外出機会は非利用者が27.6パーセントに対して利用者が43.9パーセント増加、人との交流機会は非利用者22.7パーセントに対して利用者は43.0パーセント増加、地域活動への参加は非利用者17.2パーセントに対して利用者は33.7パーセントと、明らかに増えている。研究グループは、「資源回収という日常的な行動の導線にコミュニティ拠点を設置することで、自然な交流や社会参加が生まれ、その結果、高齢者の健康維持と介護予防に寄与する可能性」が明らかになったと話している。

今後はより長期的な追跡による、実際の要介護認定、医療費、介護費との関連の検証が必要になるとのことだ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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