俳優として、またニュースキャスターとしても活躍する小澤征悦が、この度、ディレクターとしてアパレルブランド「AKAPAN」(アカパン)を立ち上げた。彼が15年以上欠かさず履き続ける「赤い下着」。それは父・小澤征爾から受け継いだ「赤」へのこだわりにあった。
――今日も赤パンなんですか?
小澤:そうですよ。ほら(と言って、パンツをチラッと見せてくれる)。
――「AKAPAN」(アカパン)というアパレルブランドを立ち上げたのは、自分で納得できる赤パンを履きたいからだったそうですね。完成したパンツのどこに一番「納得」しているんでしょう。
小澤:まずね、この赤色ですよ。自分が好きな赤っていうのを追求していくと、スカーレットっていう色らしいんですけど、この赤にたどり着いた。
僕はピカソとかマティスとかミロとかが好きで。リトグラフとか見てると、とてもいいじゃないですか、特に赤が。ヨーロッパの人が、ヨーロッパの太陽のもと見る赤って、ああいう色なんだろうなって。
――色だけでなく、素材にもこだわったとか。
小澤:はい。これまで僕が履いてきたパンツってコットンのパーセンテージが最高95%。あとの5%は伸縮性を出すためのポリウレタン。で、僕はコットンの割合を1% 高めました。コットン96%。しかもオーガニックコットンです。
――履き心地のための「1パーセント」。
小澤:実現まで、道のりは長かったですよ。完成まで2年くらいかかりました。何回サンプルを作ったかわからない。8回ぐらいは作り直したかなあ。デザイン、色、コットンのパーセンテージ。仲間とともにこだわり抜いて、やっとたどり着きました。
父から受け継いだ「赤」の絆
――今から15年以上前、小澤さんが30代に入ってからずっと下着は赤パンというのは本当なんですか。
小澤:ホントにホント(笑)。オヤジの影響ですね。小さいときから親父はいつも赤いものを身につけてた。それを見ていた幼い自分。自然と赤が好きになり、気づいたら「俺も履きたい」と思い始めていたんですよね。
「世界的指揮者の小澤征爾さんは、家ではどんなお父さんだったんですか」って、よく聞かれますけどね、家族からすると普通のお父さんだったんですよ。
家ではラフな格好で、それこそ赤パン一丁で新聞読んでましたからね。フランクで、誰とでもその人の目線に合わせて接する人でしたね。
――征爾さんといえばボストン交響楽団を世界的なオーケストラにした音楽監督として後世に残るお仕事もされました。大リーグ、ボストン・レッドソックスの熱狂的なファンとしても有名で。
小澤:オヤジのタンスの引き出しが、赤い靴下で一杯になっている棚がありました。正真正銘「レッドソックス」好きだったんですよ。



