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2025.11.11 15:00

「米国で最も成功した小型株企業」2025年版、サーバーラック統合関連企業が首位に

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米国で最も成功した小型株企業ランキング、市場全体の動向

TSSは、デルとの提携のおかげで、フォーブスが選ぶ「米国で最も成功した小型株企業ランキング」の2025年版で首位に輝いた。フォーブスはこのランキングの作成にあたり、時価総額3億〜50億ドル(約462億~約7700億円)の約1400社を分析した。従来は時価総額の上限を20億ドル(約3080億円)としていたが、小型株指数の「ラッセル2000」における加重平均の時価総額が43億ドル(約6622億円)に達したため、それを引き上げた。

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フォーブスはこれら企業のうち、株価が5ドル未満、または過去12カ月で売上が減少した企業は除外した。そして、残った621銘柄を特に直近12カ月のデータを重視しつつ、過去5年間の株価リターン、売上成長率、自己資本利益率(ROE)、および利益成長率に基づいて順位付けした。金融機関やREIT(不動産投資信託)、公益事業、ロイヤリティ・トラスト、リミテッド・パートナーシップは対象外とした。

S&P500に後れを取る、小型株市場の現状

ラッセル2000は、総じていえば依然として大型株中心のS&P500指数に後れを取っている。年初来の上昇率は9%にとどまり、S&P500の14%高を下回った。10月には4年ぶりの史上最高値を更新したものの、依然として2021年11月とほぼ同水準で取引されている。一方、S&P500は同期間に43%上昇した。

「AIが小型株企業にこそ巨大な恩恵をもたらす」と期待

小型株を扱うポートフォリオマネジャーは、依然として大型株との評価格差が縮小するのを待ち望んでおり、AIの導入がそのトレンドを逆転させるきっかけになると期待している。

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「我々は、AIが小型株企業にこそ巨大な恩恵をもたらすと考えている。なぜなら、彼らは機動力が高く、AIワークフローを柔軟に取り入れられるからだ」と、運用資産17億ドル(約2618億円)を抱えるOberweis Small-Cap Opportunities Fundのポートフォリオマネジャー、ケン・ファルサラスは語る。「一方の大型株企業は、肥大化して動きが鈍く、官僚的だ。彼らにとってAI導入は、まるで小さな川の中で巨大タンカーを方向転換させるようなものだ」。

AI革命を牽引する、TSS以外の注目小型株

AI革命に直接関わる小型株の中で、TSSよりも顧客層が多様な銘柄を探している投資家には、このフォーブスのランキング中の十数社の選択肢が挙げられる。

AIモデルの訓練を支えるInnodata

その中で4位に入ったのが、ニュージャージー州リッジフィールドパークに本社を置くInnodata(イノデータ)だ。時価総額20億ドル(約3080億円)の同社は、ハイテク大手のAIモデルの訓練を支援する膨大なデータを提供するデータエンジニアリング企業だ。1992年に上場したInnodataは、1997年からジャック・アブホフがCEOを務めているが、本格的に注目を集めたのは約3年前から始まったAIブーム以降のことだ。

同社の過去12カ月の売上は、前年比2倍以上の2億2800万ドル(約351億円)に拡大した。「マグニフィセント・セブン」と呼ばれるハイテク大手7社のうち5社を顧客に抱えるInnodataの同期間の純利益は4300万ドル(約66億円)に達しており、株価は2023年初めから2000%上昇した。

競合Scale AIのメタへの売却が好機に

同社の未上場の競合にあたるScale AI(スケールAI)やSurge AI(サージAI)は、より高い評価額を誇り、創業者はすでにビリオネアとなっている。しかし、今年6月にScale AIが評価額290億ドル(約4.5兆円)で株式の49%をメタに売却したことを受け、アナリストは、「メタの競合他社は、データの供給源としてInnodataのような企業を検討せざるを得なくなるだろう」と予測している。

ウェドブッシュ証券でテクノロジー調査部門を率いるダン・アイブスは、「スケールAIのような未上場企業は確かに優れた存在だが、これまで地味な企業と見られてきたInnodataは、今回のトレンドを収益化できる絶好のポジションを確保している。投資家がその価値に気づくのが遅すぎた“原石のような銘柄”だ」と語っている。

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翻訳=上田裕資

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