製造業を牽引する1000人超の変革者たちが集結─「CADDi UNLEASH」が拓く未来の一手

/ ビジネス 2025年11月12日

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製造業を牽引する1,000人超の変革者が集結
─「CADDi UNLEASH」が拓く未来の一手

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日本の製造業を牽引する1000人超が東京・品川に集結。2025年9月3日、完全招待制で開催されたカンファレンス「CADDi UNLEASH 2025」は、経営層をはじめとするキーパーソンがここでしか得られない戦略と課題を共有し、競合同士が立場を超えて語り合う場となった。主催者であるキャディは「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」ことをミッションに掲げ、次世代の産業像を提示。代表取締役CEO加藤勇志郎が、AI時代における製造業の役割と未来への展望を語った。

「CADDi UNLEASH」が示すモノづくりの未来

キャディ代表取締役CEO加藤勇志郎

キャディ代表取締役CEO加藤勇志郎

イベント当日、会場は熱気に包まれていた。全国から集まった製造業のリーダーたちが次々と会場入りし、基調講演の会場は1000席以上が満席に。自動車、電子機器、食品、化学、医薬品、建築資材など、産業を支える各分野のトップが一堂に会する光景は、日本の製造業の「未来会議」と呼ぶにふさわしいものだった。

キャディ代表取締役CEOの加藤勇志郎(以下、加藤)は、カンファレンス後の取材で今回の開催意義をこう振り返る。

「UNLEASHとは、日本語で『解放』を意味します。今回のカンファレンスは、私たちキャディのミッションである『モノづくり産業のポテンシャルを解放する』ことを体現する場であり、参加企業のポテンシャルも最大限に解放する場でありたいと考えました」

当日の基調講演で加藤は、製造業が担うべき役割について、モノづくりの歴史を人類の進化になぞらえながら次のように提示した。

「人類の進化の歴史は、モノづくりの進化の歴史ともいえます。産業革命もデジタル革命も、その裏には必ずハードがあり、モノづくりがかかわっています。これからAIは人間の知能を超えることが確実視されていますが、そのとき人類は逆に『物質的な限界』に直面するでしょう。

世界人口の半数以上はいまだに車にアクセスできません。飛行機や車は衝突や事故といったリスクを抱えています。知能はAIで爆発的に進化しても、物理的な制約は残る。その限界を突破するのは製造業です。しかし、単に車をつくるだけでは限界を超えられません。イノベーションを起こさなければならないのです」

この思想を体現するため、今回のカンファレンスは完全招待制で開催された。
「イノベーションの最初の灯をともすには、強い意志を持つリーダーが必要です。孤独になりがちな変革者も、同じ志をもつ仲間と出会えば、自信となり、その灯は大きく燃え上がる。今回のカンファレンスは、そうした変革者が仲間と出会い、未来を語り合う場にしたかったのです」

イノベーターが語った「変革のリアル」

「CADDi UNLEASH 2025」では、日本を代表する企業のキーパーソンが議論を交わしたメインセッションをはじめ、限定講演や中小企業から大企業まで変革に挑む20社による展示など、30以上の多彩なプログラムが用意された。

ラウンドテーブル会場やワーキングルーム、ワークショップルームも稼働し、参加者は情報収集だけでなく、互いの課題や戦略を語り合い、次の一手を模索する姿が見られた。まさに、加藤が語った「イノベーター同士が刺激し合う場」が会場全体に広がっていた。

この日行われた6つのメインセッションのうち、ここでは2つを紹介する。

左からファシリテーターを務めたキャディ上級執行役員 CPO 白井陽祐、IHIエグゼクティブフェロー 土田 剛、オムロン執行役員常務 データソリューション事業本部長 石原英貴

左からファシリテーターを務めたキャディ上級執行役員 CPO 白井陽祐、IHIエグゼクティブフェロー 土田 剛、
オムロン執行役員常務 データソリューション事業本部長 石原英貴

「なぜ、あの会社には新規事業が生まれるのか? “両利き経営”を支える組織とは」と題されたセッションには、IHIエグゼクティブフェローの土田剛(以下、土田)と、オムロン執行役員常務 データソリューション事業本部長の石原英貴(以下、石原)が登壇。

IHIが挑むアンモニアバリューチェーン事業、オムロンが成長戦略の柱に据えるデータソリューション事業という新規事業を題材に、目標設定や評価基準の設計、挑戦を支える仕組み、組織支援の実際に至るまで、リアルな実践知が語られた。

土田は、重工業を担うIHIにおいても「既存事業と新規事業の両立は避けて通れない課題だった」と明かす。「既存事業だけでは持続的な成長は描けない。一方で、新規事業は利益化までに時間がかかる。だからこそ、両者を同じ組織のなかでどう支えるかに苦心した」というコメントは、会場の大きな共感を呼ぶものとなった。

石原は「既存事業のプロセスをそのまま持ち込むと、新規事業は芽を出す前に摘まれてしまう。必要なのは、異なるプロセスを認めることだ」と強調。また、事業計画は厳格に設計する一方で、開発はアジャイルに進めるという、相反する要素を両立させる重要性を指摘した。

左からファシリテーターを務めたキャディ 部門執行役員 JapanCHRO 幸松大喜、 パナソニックコネクト アビオニクスビジネスユニット長 加藤大地、三菱電機 執行役員 FAシステム事業本部 副事業本部長 兼 名古屋製作所所長 田中貴久
三菱電機 執行役員 FAシステム事業本部 副事業本部長 兼 名古屋製作所所長 田中貴久

左からファシリテーターを務めたキャディ 部門執行役員 JapanCHRO 幸松大喜、 パナソニックコネクト アビオニクスビジネスユニット長 加藤大地、三菱電機 執行役員 FAシステム事業本部 副事業本部長 兼 名古屋製作所所長 田中貴久

パナソニックコネクト アビオニクスビジネスユニット長の加藤大地(以下、加藤)と、三菱電機 執行役員 FAシステム事業本部 副事業本部長 兼 名古屋製作所所長の田中貴久(以下、田中)による「巨大な組織も、仕組みで変えられる。縦割り組織や旧来型文化への決別」も示唆に富む内容だった。

加藤は、航空機向け事業の現場を率いるなかで「規制遵守が最優先の事業領域において、いかに挑戦マインドを醸成するか」という難題に直面。その解決に向け「組織文化を言語化し、行動指針として共有することから始めた」と語り、社内SNSでの『毎日の第一声』投稿や、部門横断のスタンプラリーといった、一見地味ながら確実に現場を動かす取り組みを披露した。

田中は、自らが所長を務める名古屋製作所での改革を紹介。所長室の扉を取り払い「誰でも入れる空間」としたことなど、従業員同士のコミュニケーションを命令伝達型からフラットな対話型へ変えた工夫が明らかになった。また、製作所内に変革推進グループを新設し、同グループが旗振り役となって所長及び各階層とのタウンホールミーティングを積極的に展開。各階層では1on1ミーティングの実践方法に関する研修を開催するなど、双方向のコミュニケーションの活性化と、組織全体の対話力向上への取組みも紹介した。

これらのセッションはいずれも、単なる成功事例の紹介ではなく、イノベーターたちがどんな葛藤を抱え、どのように仕組みをつくり変えてきたのかを率直に語る場となった。苦悩と手応えがにじむ言葉に、参加者は息をのんで耳を傾けていた。

孤独から共創へ─製造業イノベーションの次なる舞台

加藤(キャディ代表取締役CEO)がこれまで開催したイベントのなかで最大の成功だったと語る「CADDi UNLEASH 2025」。

「来場者からは『製造業の未来像を再定義する、よい機会になった』という声に加え、『キャディがここまで大きなビジョンを掲げているとは知らなかった』というお声をいただきました。経営層同士が課題を共有し、新しい関係を築き始めた。そこにこそ、このイベントの価値がある。経営層の皆さんの目が少年のように輝いていたのが強く印象に残っています」

当日、会場では企業の枠を超えた対話が絶えず、話題の多くは、自社で進める変革の現在地や改革への思いだった。商談の場ではなく、「未来をともにつくる共創の場」としての役割を果たしていた。

キャディが提供する「製造業AIデータプラットフォームCADDi」は、非構造データを構造化し、統合検索を可能にする。設計から調達、製造に至るまで多岐にわたる課題を解消し、製造業のポテンシャルを引き出す基盤となっている。

「AIは与えられたデータ以上に賢くなりません。だからこそ、現場の知見を資産化する仕組みが必要です。私たちは効率化ツールの提供者にとどまらず、暗黙知や失敗からの学びを資産に変え、企業が強くなる仕組みをつくりたい。変革を加速させる共創の触媒であり続けたいと考えています」

今回初開催したカンファレンスは、まぎれもなくこの言葉を具現化する場となった。

「『CADDi UNLEASH 2025』は、始まりにすぎません。製造業の価値が再定義される時代に、我々はその変革を共に推し進める存在であり続けたい。今回、その意義を1000人の変革者に伝えることができたと感じています。今後はその数を、5倍、10倍に広げたい。そのために、年1回の開催を基本に規模を拡大しながら同様の取り組みを続けていきます」

カンファレンスを経て芽生えたイノベーター同士の関係は、今後の変革を生む土壌となるだろう。

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会場には「UNLEASH Gallery」と題した展示会場が設けられ、「製造業AIデータプラットフォームCADDi」導入企業20社の具体的な取り組みや導入効果が公開された。

加藤勇志郎(かとう・ゆうしろう)

キャディ代表取締役CEO。東京大学卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。製造業メーカーを多方面から支援するプロジェクトに携わり、2017年キャディを創業。現在に至る。

Promoted by キャディtext by Motoki Honmaphotographs by Jin Saitoedited by Aya Ohtou(CRAING)