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2025.11.11 10:30

OpenAIが破綻しても、サム・アルトマンCEOは「無傷」で済む

Photo by Andrew Harnik/Getty Images

巨大テック企業間の「相互依存」、救済しあうパートナー各社

そして、こうした戦略的な「相互依存」関係ともいえる取引に関わる企業群は、すでに互いを救済する意思を示している。9月には、エヌビディアが2032年までのコアウィーブの売れ残った計算能力を63億ドル(約9702億円)で買い取ると発表した。OpenAIがコアウィーブ最大の顧客であることを踏まえれば、同社が使わなかった分のリソースもその対象に含まれる可能性が高い。

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みずほ証券でメタ、グーグル、アマゾンを担当するアナリストのロイド・ウォルムズリーは、次のようにたとえた。「銀行に10万ドル(約1500万円)の借金があれば、銀行があなたを支配する。だが、1億ドル(約154億円)の借金があれば、今度はあなたが銀行を支配するんだ。今や誰もが手を取り合い、“このプロダクトにはそれだけの価値がある”という信念に賭けている」。

OpenAIが契約済みの計算資源をすべて使い切り、追加を必要とする可能性もある。その場合、このAIの巨人は、新たな資金調達に踏み切り、収益を指数関数的に伸ばす必要がある。アルトマンがたびたびOpenAIの新規株式公開(IPO)に言及しているのは、資金調達コストを下げて借入をしやすくする狙いがあるためだ。彼は、先日も今後の売上が伸び続けるとの自信を示し、その主な原動力として、まもなく投入されるエンタープライズ向け製品群や、ロボティクス、コンシューマー機器といった新たなカテゴリを挙げた。

OpenAIが破綻した場合、誰が最初に支払いを受け、誰が損失を被るのか

より極端なケースを考えてみよう。もしOpenAIが破産保護を申請した場合、誰が最初に支払いを受け、誰が損失を被るのか? まず考えられるのは、豊富な資金を持つ企業──たとえばマイクロソフトやオラクルなど、OpenAIと大型契約を結んでいる相手──が「火事場買収」で同社を引き取るシナリオだ。そして万が一、OpenAIが破産・清算に至った場合、最初に返済を受けるのは債権者だ。その次に優先株主、そして最後に、もし残余資産があればの話だが、普通株主が支払いを受ける。

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現在OpenAIが公表している借入契約は1つのみで、総額40億ドル(約6160億円)の信用供与契約とされている。参加しているのは、JPモルガン、シティ、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーなど9行だ。

2024年10月に発表されたこの契約は「リボルビング・クレジット・ファシリティ」と呼ばれ、あらかじめ定められた期間と限度額の範囲内で、企業が自由に借入と返済を繰り返せる仕組みとなっている。同社がこれ以外の債務を抱えているかどうかは不明だが、非公開企業であるため開示義務はない。

筆頭株主マイクロソフトの存在、最優先で支払いを受ける可能性

OpenAIの株主の中でも筆頭格に位置するのがマイクロソフトだ。同社は先日の営利企業化を経て、OpenAI株の27%を保有している。マイクロソフトはこれまでに、OpenAIへの総額130億ドル(約2兆円)の出資コミットメントのうち116億ドル(約1.8兆円)を実行済みであり、OpenAIは今後数年間で総額2500億ドル(約38.5兆円)相当のマイクロソフトのクラウド「Azure」の計算資源を購入する契約を結んでいる。両社は収益の一部を相互に共有する取り決めも結んでいる。

「OpenAIがすべての支払いを履行できなくなった場合に、最初に支払いを受けるのはマイクロソフトだ」と、D.A.デイビッドソンのルリアは述べている。そのほかの主要株主には、スライブ・キャピタルやソフトバンク、ドラゴニア・インベストメント・グループ、そしてジョナサン・アイブ率いるio社とOpenAIの60億ドル(約9240億円)規模の合併に関与した投資家が名を連ねている。

普通株主である従業員、共同創業者、OpenAI Nonprofit

普通株主である従業員や共同創業者、そして非営利団体の形式をとるOpenAI Nonprofitは、もし残余資産があれば、それぞれの出資額に応じて分配を受けることになる。興味深いのは、OpenAI Nonprofitが特別な「クラスN株」を保有している点だ。この株式は、取締役の選任に関して議決権の過半数および拒否権を持つ一方、会社が破綻した場合の財務的なリターンの受け取りを保証されていない(ただし、同団体が保有する26%の持分には、通常の普通株も一部含まれているとみられる)。

誰にもその答えはわからない

アルトマンによる一連の取引は、まさに人々の常識を超えている。ただし、最大規模の支払いの多くは、数年先に期限を迎える予定であり、その間に追加の資金調達か爆発的な売上成長によって支払い方法を見出すことが可能だ。AI業界の時間感覚でいえば、数年というのは“永遠”にも等しい。その間に状況を一変させるだけの新戦略を編み出す余地は十分にある。

とはいえ、誰にもその答えはわからない──おそらくアルトマン自身すらも。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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