現代社会において、街の安全を守る「目」としての防犯カメラは、もはや日常の一部だ。その存在は犯罪抑止や事件解決に欠かせないものとなりつつある一方、市民の意識はどのように変化しているのだろうか。ALSOKによる調査結果から、防犯カメラが生活に浸透しつつある実態と、それに対する市民の複雑な感情が見えてくる。
防犯カメラの設置台数は増加傾向にあるが、その実感を伴わない人々が多いという現状がある。5年前と比較して防犯カメラの台数が「増えた」と感じる人は43.0%と半数以下にとどまり、「あまりかわらない」と回答した人が56.0%と多数を占める結果だ。

これは、防犯カメラの小型化や設置場所の多様化が進み、もはや日常の風景として一般化していることの表れなのかもしれない。防犯カメラが特別な存在ではなく、意識されないほど街に深く溶け込んでいる状態と言えよう。
防犯カメラの設置目的である「安全確保」の側面では、その有用性が明確になっている。令和7年防犯白書によると、警察の検挙件数のうち、主たる被疑者を特定した警察活動が「防犯カメラ画像等」であった割合は増加傾向にある。防犯カメラの存在は、犯罪の予防だけでなく、事件発生後の迅速な被疑者特定に大きく貢献しているのだ。

こうした貢献度の高まりを背景に、防犯カメラの設置による「安心感」は非常に高い水準にある。防犯カメラがあることで「安心」と感じる人は全体の82.2%に上り、特に高齢層ほど安心感を持つ傾向が見られた。




