アマゾンとエヌビディアは、マサチューセッツ州拠点のロボット・ハブ組織であるマスロボティクス(MassRobotics)が運営する「フィジカルAIフェローシップ」(Physical AI Fellowship)を通して、AIとロボットのスタートアップ8社を支援している。各社は、科学・工学面での支援、20万ドル(約3068万円)相当のAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)クレジット、エヌビディアのハードウェア/ソフトウェアスタックへのアクセス、さらにアマゾン、エヌビディア、マスロボティクスの主要イベントにおける市場投入支援を受ける。
ここでの焦点は「フィジカルAI」だ。
「フィジカルAIとは本質的に、空間認識を活用し、それを知能と結びつけて、物理的な対象や物理環境でアクチュエーション(動作)を実現することです」と、AWSの生成AIイノベーション/デリバリー責任者のタイムール・ラシッドは、最近のTechFirstポッドキャストで述べた。
ラシッドによれば、ここには巨大な機会がある。世界で25億人が肉体労働に従事しており、その年間生産額は約50兆ドル(約7670兆円)にのぼる。自動化とフィジカルAIは、その生産に寄与し得るという。
今回の8社は、外洋を航行する自律船の制御や自動運転建設機械、物流の加速、農場での食料生産など、多様なタスクにAIを適用している。アマゾンはこの有効性を実地で把握している。ラシッドによれば、同社のフルフィルメントセンターにおけるロボット自動化は、すでに効率を25%向上させることに貢献している。
以下がその8社だ。
1. Bedrock Robotics:自律型建設機械
建設現場は混沌としており、粉じんが多く、地面も不整で、いずれもロボットに厳しい環境だ。サンフランシスコ拠点のBedrock Robotics(ベッドロック・ロボティクス)は、ブルドーザー、油圧ショベル、ローダーにセンサー、コンピュートユニット、AIソフトウェアを後付けし、自動運転の重機へと変える。
2. Blue Water Autonomy:外洋向けロボット船
海洋は自律化にとって最難関の環境の1つだ。荒天で常に状況が変化し、支援はしばしば遠距離で行われる。Blue Water Autonomy(ブルー・ウォーター・オートノミー)は、人間の乗組員なしで哨戒、輸送、調査を行えるAI搭載の水上艇を開発する。各船はリアルタイムの知覚と計画により、変化する海流や天候を航行する。
3. Diligent Robotics:ヘルスケア向けヒューマノイドの助手
テキサス州オースティンのDiligent Robotics(ディリジェント・ロボティクス)は、社会的知性を備えた車輪型ロボットを開発しており、すでに米国内25の病院で稼働している。同社のロボット「Moxi」(モクシー)は、物品搬送、院内配送、看護スタッフの支援を担う。



