悪意のあるVPNアプリに関して、グーグルが警告を発する
VPNアプリは、世界各地の「鉄のカーテン」や「竹のカーテン」の背後にいるインターネット利用者にとって命綱であり、ソーシャルメディア、ニュースサイト、メッセージングへのアクセスを提供している。西側がこれに制限を検討するのは危険である。児童の安全の名目でそうするのは不誠実だ。本当に悪質な者は単に別の手段を使うだけだ。代償を払うのは普通の利用者である。
サイバーセキュリティの観点でも同様だ。現在、数億人の利用者がVPNアプリをダウンロードしインストールしている。VPNは、端末との間のあらゆるインターネット通信を第三者のサーバー経由で迂回させる安全なトンネルである。VPNは強力なツールであり、しかし誤った開発者から供給されれば危険なツールにもなる。悪いVPNは、VPNを使わないことよりもはるかに悪い。
冒頭で挙げたグーグルの警告では、次のように述べられている。
「いったんインストールされると、これらのアプリは情報窃取型マルウェア、リモートアクセス型トロイの木馬、バンキング型トロイの木馬などの危険なペイロードを配布する手段となり、閲覧履歴、プライベートメッセージ、金融認証情報、暗号資産ウォレット情報といった機微データを持ち出します」。
グーグルは、公式ストアからのみVPNアプリをインストールするよう利用者に注意喚起している。しかし、筆者はさらに踏み込む。無料VPNは避けるのが最善だ。特に中国製VPNは避けなければならない。またグーグルとアップルは、安全でないVPNアプリをストアに掲載し、批判を受けてきたという経緯がある。(グーグルとアップルを信用しすぎず)自分で判断し、よく知られた欧米ブランドの信頼できるVPNアプリを選ぶべきである。そして、そのための対価の支払いを受け入れるべきだ。
ネットの自由を脅かす、規制の動きに警戒を
同時に、ニュースや最新動向にも注意を払うべきだろう。VPNアプリの利用を取り締まる動きが迫っている可能性がある。エンドツーエンド暗号化への脅威と同様、インターネットの自由にとって憂慮すべき新たな方向性である。立法者は立ち止まって考える必要がある。


