コリンズ・ディクショナリー(コリンズ英語辞典)が、2025年を象徴する「今年の言葉」として「バイブコーディング(Vibe Coding)」を選んだ。研究者は、このスキルこそが今後10年の職場におけるAIの革新と開発を再定義する可能性があると述べている。
求人で目にするようになった「バイブコーディング」
テクノロジー分野の認定・研修を提供する大手であるGeneral Assemblyの調査によれば、回答したプロダクトマネージャーのほぼ半数がこのスキルを身に付けたいと考えているが、実際に保有しているのは38%にとどまるという。
それはデータ分析ではない。コーディングでもない(少なくとも直接には)。それは「バイブコーディング」だ。
この台頭するAIスキルは、求人でもますます目にするようになっている。では、なぜこれほど注目されているのか。生まれたばかりの用語にすぎなかったバイブコーディングが、なぜコリンズ・ディクショナリーの注目の「今年の言葉」に選ばれたのか。
なぜバイブコーディングが「今年の言葉」(かつスキル)なのか
インターネット上でバイブコーディングが大きく注目を集めた好例は、数カ月前に米ウォルマート(Walmart、米国最大の民間雇用主)がシニア・ソフトウェアエンジニアの求人を出したときだ。同社は求人の中で「創造的で技術的に鋭いバイブ・コーダーを求む。AIファーストの開発チームを推進してほしい」と記し、リンクトイン(LinkedIn)の求人投稿によれば年収は最大22万ドル(約3375万円)としていた。
ウォルマートのSVPが体験しレポート
ウォルマートのエンタープライズ・ビジネス・サービス担当上級副社長(SVP)であるデイブ・グリックは、数か月前に自身のリンクトインで興奮気味にこう投稿した。
「先週木曜の午後5時の時点で、私は何の計画もありませんでした。だが真夜中までに、エージェントを構築するエージェントができあがり、私は『信じられないことが起きている』と人々にメッセージを送っていました。私のチャレンジはこうでした──『機械を作る機械』を作ることです。SOP(標準作業手順)を与えて、動作するエージェントを吐き出させるのです。
ものの数分で、彼らはエージェントを立ち上げて動かしていました」と、グリックはリンクトインの投稿で興奮気味に述べた。「私は社内を走り回り、見つけたリーダーを誰でも捕まえては『これを見てください』と言っていました。5~10個のエージェントが横並びで動き、壊し、修理し、学習し、構築していました。そして真夜中までに、完全に機能する「エージェント・ビルダー」の80%までが完成していました。
いちばんクレイジーだったのは、誰ひとりとしてコードを1行もタイプしていないことです。『すべてが生成され、反復され、洗練され、バイブコーディングされました。これは私が見た中で最速の開発サイクルです。これが未来であり、その未来はすでにここにあるのです』」。
これこそが、AIスキルが実地で発揮された姿である。2025年にAIエージェントがホットトピックだったように、2026年もバイブコーディングがホットトピックとなり、私たちの仕事を劇的に変えると見込まれる。
だが、そもそもバイブコーディングとは何で、なぜこのAIスキルを学ぶ必要があるのか。



