ウクライナ侵攻開始当時にロシアの新興財閥オリガルヒから押収され、米政府が競売にかけた高級クルーザーが、アラブ首長国連邦(UAE)の大富豪が経営する企業の手に渡ったと報じられている。同企業はドナルド・トランプ米大統領との関係も取り沙汰されていた。
「アマデア」号と名付けられたこの高級船舶は、ロシアによるウクライナ侵攻開始直後の2022年6月、同国のウラジーミル・プーチン大統領と関係のあるオリガルヒに対する制裁として差し押さえられた。同船舶は今年9月、競売にかけられた。
アマデア号は、制裁対象のロシア人オリガルヒ、スレイマン・ケリモフが所有していたもので、推定価格は約3億ドル(約460億円)とされているが、売却時の落札価格は明らかにされていない。17年に就航した全長106メートル、高さ18メートルの同船舶には8つの客室があり、最大22人を収容可能。ジム、サウナ、マッサージ室、10メートルのプール、プライベートシアター、ヘリポート、2基のエレベーターを完備している。
船舶データベース「エクアシス」によると、アマデア号の所有権は10月10日に正式に変更され、現在はUAEの億万長者フセイン・サジワニが経営する高級不動産開発会社ダマク・プロパティーズと同じ住所に本社を置くビヨンド・ホールディングス・グループが所有している。ビヨンド・ホールディングス・グループはかつて、AHSフォー・カンパニーとして知られていたとロシアの報道機関が最初に報じた。AHSはサジワニの息子の名前の頭文字で、息子が所有する高級クルーザーの名前でもある。このクルーザーは週50万ドル(約7700万円)以上で貸し出されるという。
米財務省は18年、ロシア政府やプーチン大統領との関係を利用して金銭的利益を得たとして、ケリモフに制裁を科した。ロシアによるウクライナへの全面侵攻を受け、同省は22年9月、ケリモフを改めて制裁対象に指定した。
フィジー当局は22年6月、米司法省の要請に基づき、アマデア号を差し押さえた。同省はケリモフがマネーロンダリング(資金洗浄)や共謀罪を含む複数の米国法に違反したとしている。政府が船舶の真の所有権を立証しようと試みる中、複雑な法廷闘争が続いた。アマデア号は事業実態のないペーパーカンパニーを通じて購入され、ロシアのオリガルヒであるエドゥアルト・フダイナトフの名義貸し所有下にあった。



