実際のところどうなのでしょう。上はイギリスでの筆者の最近の体験でしたが、筆者が現在暮らす国、ソバーキュリアスの対極にありそうな「ワイン大国」フランスの視点からお伝えします。
フランスはワインの生産・消費量ともに世界トップクラスであり、一人当たりの年間消費量が以前の100Lから減少傾向とはいえ、依然として、30〜40L(40〜50本)と日本の10倍以上で、街に溢れるカフェに目を向けると、平日・休日問わず、ランチでもアペロ(夕食前にお酒・おつまみと歓談を楽しむ時間)でも夕食時でも、水のようにお酒・ワインを飲んでいます。
他のEU圏内の国から帰国する際にも、90Lほどであれば「個人消費目的・非商用」として申告不要/課税不要となっていることに驚きました。夜の社交の機会でも、何か機会があれば、同僚と日付が変わるまでバーやカラオケで過ごしたり、結婚式や取引先とのカクテルパーティなどで日本と変わらない慣習(アルコール耐性がある分、むしろ騒ぎ方はパワフルです)があると感じます。
国民性としても、先のことを憂いるよりも、「今を豊かに楽しむ」という価値観が根底に根付いており、ソバ-キュリアスへの考えを聞いてみると、そもそも「ソバ-キュリアスってなに?」、「ワインはあくまで食事の味わいを高めるものであり切り離せないし、アルコールや酔うものとして捉えていない」等、いわゆる断酒自体にニーズ・トレンドがある訳ではなさそうです。
一方で、ソバ-キュリアスという本人の認識はなくても、実生活においては、飲酒の量・頻度を調整したり、場面によって種類やアルコール度数を管理したり、10月は「オクトーバーフェスト」で盛り上がり、1月には「ドライ・ジャニュアリー」で断酒を実践する、というように、心身の健康、睡眠の質の向上や時間の確保などのポジティブな感情に焦点をあてて、個々人の状況やニーズに合わせて、自然体で無理なく実践している人が散見されます。
こんなふうに、同僚フランス人たちにアルコールとのつきあい方を聞いてみて、飲むか飲まないかの二者択一や、我慢するというネガティブな動機である必要はないのだと腑に落ちました。


