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2025.11.08 18:00

ワインは「ナチュラル」な方が健康に良い? 自然派ワインの定義

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ここ数年のうちにワインバーで飲んだことがある人なら、濁りのある「ナチュラル」なワインと呼ばれる1杯を勧められたことがあるかもしれない。飲んだ人はそれを、シードルやコンブチャのように「個性的な味だ」と思ったかもしれない。それまでに飲んでいたシャルドネよりも「若々しさやフレッシュさ」を感じたかもしれない。

いずれにしても、ナチュラルワイン(自然派ワイン)はワインの世界で、最もよく話題にされ、そして誤解されているムーブメントの1つとなっている。

だが、ワインが「ナチュラル」であるとは、実際にはどういうことなのだろうか?そして、ナチュラルワインとは、それほど大騒ぎするほどのものなのだろうか──?

ナチュラルワインとは?

端的に表現すれば、それはワイナリーでもワインセラーでも「介入が最小限に抑えた」ワインのことだ。つまり、有機栽培された、またはバイオダイナミック農法で栽培された(合成肥料、殺虫剤、除草剤を使用していない)ブドウを原料とし、さらに実験室で培養された酵母ではなく、野生酵母で自然発酵させたワインだということになる。

ナチュラルワインの醸造家たちは通常、発酵が始まった後はしばらく、ワインをそのままにしておく。補糖したり、着色したりすることも、フレーバーを付与することなどもない。清澄化(ファインニング)や濾過(フィルター)を行うことも、ほとんどない。多くのナチュラルワインが濁って見えるのは、そのためだ。

そして、このタイプのワイン造りにおいて最も重要なことは、風味を安定させ、劣化を防ぐために従来のワインに広く使用されてきた保存料の亜硫酸塩を、ほとんど、あるいはまったく添加しないということだ。

「ナチュラル」はカテゴリーではない

ナチュラルワインには、オーガニック農法、あるいはバイオダイナミック農法で栽培されたブドウから造られたワインと違い、法的な定義がない。認証機関や統括団体もなく、何を基準に「ナチュラル」とするかについても、意見が分かれている。

このムーブメントが興ったのは、1960~70年代。ブドウ栽培の工業化や大量生産に反対したフランスのボジョレー地方とロワール渓谷のワイン生産者たちが主導した。彼らが目指したのは、近代以前のワイン造り、つまり化学式ではなく、微生物の生命活動としての発酵に立ち戻ることだった。

ナチュラルワインは現在までに、ワインの種別ではなく、世界的なコミュニティを形作るものへと進化してきた。スペインのカナリア諸島から米カリフォルニア州のセントラルコーストまで、ワインの生産者たちは昔ながらの醸造方法と介入を抑制した方法でのワイン生産を試みている。そして、伝統的なワインとは大きく異なる味わいを生み出している。

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編集=木内涼子

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