味が大きく異なる理由は?
ナチュラルワインの中には、スリリングで快活な印象を持ち、みずみずしく、刺激的なものもある。フルーツの酸味や土壌、力強さなど、意外なフレーバーを感じさせるものもある。
そしてまた、これらのワインは一貫性を持たない。取り扱い方が良くなければ、酸化したり、風味が単調になったり、揮発酸度が高く(酸味が強く)なりすぎたりする。これらはこのスタイルのワインの魅力の一部であり、同時に不満を持たれる点でもある。
ナチュラルワインを好む人たちは「それぞれのボトルに活力を感じる」「グラスの中で刻々と変化していく」などの点を長所として挙げる。また、批評家たちは「ナチュラル」なワインを「欠点があるものとしてみるべきではない」と指摘する。あるソムリエは「自然の状態であることと、ただ単に風変わりであることには違いがある」と評している。
いずれにしても、このスタイルのワインは、多くの人たちの考え方を変えた。ワインをより飾り気のないもの、試してみたいもの、そして開放的なもの──由緒や格式ではなく、個性を重視するものに変えてきたのだ。
「ナチュラル」な方が健康に良い?
飲んだ後に頭がぼんやりしたり、頭痛がしたりといった副次的な影響を感じることが少ないという人もいるが。だが、ナチュラルワインは必ずしも、その他のスタイルのワインより健康的だというわけではない。そうした話は、個人の経験談にとどまる。確かにナチュラルワインには添加物が少なく、亜硫酸塩の濃度も低いが、アルコールであることに変わりはない。
このスタイルのワインが提供するのは、透明性だ。安定剤や着色料、産業用酵母など、そのグラスに何が「含まれていない」のか理解した上で、飲むことができる。原材料に関する誠実さや持続可能性を重視する人たちにとっては、それがこれらのワインの魅力の1つとなっている。
市場も変化
ナチュラルワインは、もはやニッチな商品ではない。パリのワインセラーにしかなかったようなワインも、最近では大手小売店やミシュランの星付きレストラン、あちこちにあるワインバーで取り扱われている。


