北米

2025.11.08 12:00

「ビリオネアなき米国」をうたう次期NY市長マムダニ、では本人の資産状況は?

ニューヨーク市長選で当選したゾーラン・マムダニ(Photo by Andrew Lichtenstein/Corbis via Getty Images)

【以降の内容は、米国時間6月24日に掲載したもの。肩書きや資産額などは公開時点のままで、最新の状況とは異なる可能性がある】

advertisement

自分が育った環境でもあるコロンビア大学について、税優遇措置の撤廃を主張

2025年2月、ハーレムで開かれた討論会でマムダニは、コロンビア大学への各種の税優遇措置を撤廃し、その分の歳入を市立大学システムの財源に充てるという法案について語った。マムダニにとってコロンビア大学は決して他人事ではない。彼の父(ハーバード大学出身)はコロンビア大学の著名な教授であり、マムダニ自身も大学が所有する住宅で育ったからだ。「コロンビア大学は、私たち家族にとって最初の大家だった」と、彼は学生新聞の取材で語っている。

そして現在、民主社会主義者となったマムダニは、ハーバード出身で受賞歴のある映画監督でもある母親を含む“エリート社会”を公然と拒絶している。家賃規制のかかったアパートに暮らす彼は、車を持たず、財務開示に記載された主要な資産は10年以上前に取得した出身地ウガンダの数エーカーの土地のみだ。

対立候補クオモと同じく裕福な出自で、両者とも「労働者階級の代弁者」として売り出す

マムダニは、SNSを巧みに使ったアウトサイダー的な選挙運動で、ニューヨーク市長選の有力候補に躍り出た。元州知事のアンドリュー・クオモと世論調査でほぼ互角につけている彼は、混乱の時代の「経験豊富な舵取り役」を自任するクオモとは対照的な存在として注目を集めている。

advertisement

しかし、この2人は政治的な立場こそ異なるが、意外なほど共通点が多い。のちにニューヨーク州知事となった弁護士の父を持つクオモもまた、裕福な家庭に生まれ、かつてはケネディ家の一員を妻としていた。2人とも賃貸暮らしで、市内に不動産は所有していない(ただし、クオモが住むミッドタウンの2ベッドルームの部屋の家賃は、マムダニの部屋の約4倍だ)。裕福な出自で、自らを「労働者階級の代弁者」として売り出している点で共通しており、マムダニは家賃の値上げ凍結とバスの無料化を掲げ、クオモは治安対策を訴えている。

純資産はクオモ約15億円、マムダニ約3100万円

ただし、決定的に異なるのがその資産規模だ。フォーブスの推計でクオモの純資産は約1000万ドル(約15億3000万円)だが、マムダニの資産はその約50分の1、20万ドル(約3100万円)だ。

コロンビア大教授の父と映画監督の母のもと、裕福な家庭で育つ

マムダニは1991年、ウガンダの首都カンパラで生まれた。

同年、インド系米国人の映画監督である母ミーラ・ナイールは、自身の2作目の映画『ミシシッピー・マサラ』(デンゼル・ワシントン主演)を公開した。ボンベイのスラム街の子どもたちを描いた彼女の長編デビュー作『サラーム・ボンベイ!』は、その3年前にアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた。ナイールはその後、2001年のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した『モンスーン・ウェディング』でも知られている。

マムダニ一家がニューヨークに移ったのは、彼が7歳のとき。父マフムード・マムダニがコロンビア大学で教職に就いたのがきっかけだった。

マムダニはまず、小学生の年間授業料が6万6000ドル(約1000万円)に達するマンハッタンの名門私立校バンク・ストリートに通った。その後、市内屈指の公立名門校ブロンクス・ハイスクール・オブ・サイエンスを卒業し、メイン州にある私立のリベラルアーツ・カレッジ、ボウディン大学でアフリカ研究を専攻した。同大学は、ネットフリックス共同創業者のリード・ヘイスティングス、元アメリカン・エキスプレスCEOのケン・シェノーの母校としても知られる。

映画の撮影現場で働き、音楽活動も

2014年に卒業後、マムダニは母の映画撮影現場で働くかたわら、「ヤング・カルダモン」や「ミスター・カルダモン」という名義でラッパーとして活動し、女優で料理研究家のマードゥル・ジャフリーをフィーチャーしたシングル『Nani』をリリースした。

議員年俸約2200万円、ラップ収入約15万円で家賃制限アパートに住む

ニューヨーク・タイムズ(NYT)の記事によれば、彼はその後いくつかの政治キャンペーンや地域組織活動の仕事に関わるなどの経験を積んでいった。2018年に米国市民権を取得したマムダニは、2020年に州議会議員選挙に立候補し、5期連続で当選していた現職を破って初当選した。議員としての年俸は14万2000ドル(約2200万円)で、2024年に報告したラッパーとしてのロイヤリティ収入(わずか1000ドル[約15万円])を大きく上回る額だった。彼は現在、アストリア地区にある月額2250ドル(約34万円)の家賃制限アパートに住み、車を持たず、討論会などへの移動には地下鉄を利用している。

次ページ > 資産の大半は出生地ウガンダの土地、評価額は約2300万〜約3800万円

翻訳=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事