全米小売業協会(NRF)のマシュー・シェイ会長は6日、今年の年末商戦の消費額が史上初めて1兆ドル(約153兆円)を突破すると予測していると述べた。
シェイ会長によると、経済の不透明感の高まりやインフレ、関税による価格上昇といった課題があるにもかかわらず、11月1日~12月31日までの年末商戦の消費額は前年比3.7~4.2%増加する見込みだという。昨年の消費額は9760億ドル(約150兆円)で、前年から4.3%増加していた。
同会長は、消費者がこれまで以上に価格に敏感になっており、買い物時に慎重に価格を比較すると述べたが、全体的な消費行動は依然として積極的だと分析している。NRFのマーク・マシューズ上級エコノミストは、今年は過去数年より多くの消費者がブラックフライデーなどの年末セールを狙っていると述べた。
他方で、シェイ会長は、小売業者への圧力と経営費の上昇により、季節雇用の水準が過去15年間で最低となる可能性があると指摘した。季節労働者の雇用数は26万5000~36万5000件になると予想されている。同会長の見解は、今年の年末商戦に向けた雇用が過去10年間で最低水準に落ち込むと推定する他の複数の報告とも一致している。人材紹介会社のチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、企業はこれまでに約37万5000件の季節労働者の採用計画を発表している。これは同社が2012年に調査を開始して以来、11月時点での季節雇用者数の発表としては最低の数値となる。
NRFの予測は先月、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が表明した見解と一致している。パウエル議長は、個人消費は「多くの悲観的な予測」に反して堅調であるものの、その大部分は富裕層によるものだと述べた。経済学者らは、米国経済が「K字型」となる可能性があると警告している。これは、高所得層の消費者が引き続き経済にプラスに寄与する一方で、低所得層の消費者が苦境に陥る傾向を指す。マクドナルドやプロクター・アンド・ギャンブルなど複数の企業が、顧客の間で同様の傾向を確認していると報告している。米外食チェーン、チポトレ・メキシカン・グリルのアダム・ライマー最高財務責任者(CFO)は、低所得層の消費者は「現在、圧力を感じている」と述べた。
米世論調査機関ピュー・リサーチセンターが先月発表した報告書によると、米国人の74%が国内経済を「普通」または「悪い」と評価しており、2024年1月の72%からほぼ横ばいとなった。経済状況を悪いと評価した回答者は、高インフレ率やトランプ政権、関税、高い生活費、富の格差を理由に挙げていた。



