生活用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)のアンドレ・シュルテン最高財務責任者(CFO)は先週、「消費環境は良好とは言えないが安定している」としつつ、低所得層は支出や手元の現金に関してより慎重になっているようだと述べた。
ファストカジュアル業態の飲食店を展開するチポトレ・メキシカン・グリルのアダム・ライマーCFOも今年、ロイターのインタビューで低所得層の顧客は「圧迫を感じている」と語り、同社が価格を調整する場合にはその点を考慮する必要があるとの認識を示している。
コロナ禍後にもみられた「K字型」回復
直近で米経済がK字型と呼ばれたのは、新型コロナウイルス禍からの回復期だ。当時、低所得の労働者が広範なレイオフや労働時間短縮に見舞われる一方、テクノロジーや金融をはじめ、労働環境の良い高所得部門は急速に成長していた。
米決済ネットワーク大手ビザは2019年12月時点でK字型経済の可能性を警告していた。政府閉鎖の懸念が高まるなか、消費支出が加速する一方で企業の成長が鈍化していることを理由に挙げた。
経済への悲観的な見方を強める米消費者
最近の複数の調査によると、米国人の間ではここ数カ月、米経済に対する悲観的な見方が強まっている。
米民間調査機関コンファレンス・ボードは先週、米消費者は雇用の機会や労働市場の状況に「やや悲観的」になっているとし、全体として米経済について「おおむね否定的」な見方が続いていると報告した。コンファレンス・ボードのシニアエコノミスト、ステファニー・ギシャールは、米国の政治状況に関する言及が「顕著」に増えており、政府閉鎖について懸念する声も上がっていると説明している。
ミシガン大学の消費者センチメント調査の責任者を務めるジョアン・スーによると、米消費者は今年に入り「高止まりする物価に対するいらだち」を繰り返し示しており、多くの人が物価高で家計が悪化したと回答している。


