だが、実際にジョブハギング中であったとしても、今の役職にとどまりつつ、受け身でいいので新たなチャンスを探るよう、サレーミはアドバイスしている。同氏はまた、今ジョブハギングをしていて、新たな役職や企業を検討することに慎重だとしても、今の自分の立場を活用して、新たなスキルを身につけるよう促している。
給与情報サイトSalaryGuideの共同創業者ドミトリ・アニキンもサレーミと同意見だ。アニキンは、今の会社を辞めたり、転職を繰り返したりすることが、必ずしもキャリアの成長につながるとは限らないと語る。職を失う恐怖心から今の仕事にとどまっている従業員は、自らをジョブハギングに駆り立てるエネルギーを活用して、自分の成長につなげるといいとアニキンは述べる。例えば、新たなスキルを養う、自信を培う、訪れたチャンスをつかめるように準備しておく、といったことだ。
ジョブハギングに走る人たちを、現状に甘んじているとして批判する声に対しては、アニキンはこう反論している。「これは、単に現状に満足していることを示すサインではない。予想不可能な状況で、何とか歩を進めようとする働き手の現状の反映だ。経済が不透明な状況であるため、多くの従業員は、安心感を得られる場所にとどまることを選んでいる。彼らが野心に欠けているという評価にはあたらない」
ただし、ジョブハギングの裏には、間違った選択をするのではないかという猜疑心や恐怖心があり、キャリアに関わる次の決断に自信が持てないゆえの行動であることは、アニキンも認めている。そうであっても、適切な道を選ばなければならないと、同氏は力説する。具体的には、インターナルモビリティ(社員自身の希望による配置転換)や人事異動、あるいは今の勤務先で新たな職責を担う道を検討するなどして、安心感や安定を犠牲にすることなく、自身の専門知識や価値を高めることが大切だという。
「ジョブハギング」には、感情面での弊害も
Monsterのサレーミは、「現実を見ると、ジョブハギングは広く一般的に行なわれている行為と言える。Monsterの調査データによれば、働き手のうち85%が、自身のキャリアのいずれかの時点でジョブハギングをしたことがあると認めている」と指摘する。Monsterの調査結果は、ジョブハギングが働き手の安定志向を示すだけでなく、リスクを避ける文化への変化を裏づけている。安心感は今や、野心と直接競合する要素になっているということだ。


