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2025.11.06 13:00

ソフトバンク株が世界的株安の中で急落、孫正義の資産は「1日で約2.2兆円減少」

Tomohiro Ohsumi/Getty Images

Tomohiro Ohsumi/Getty Images

世界的なテック投資大手、ソフトバンクグループの会長兼CEOである孫正義は、11月5日に131億ドル(約2兆200億円)もの資産を失った。フォーブスの『リアルタイム・ビリオネア・リスト』によると、これは同日にアジア地域の富豪が経験した資産減少額としては最も大きなものだ。その背景には、株式市場の割高感に対する懸念から起きた世界的な売りがある。

現在68歳の孫がもつ資産の大半はソフトバンク株が占めており、フォーブスの推計によれば、彼の推定資産は715億ドル(約11兆59億円)とされている。ソフトバンク株は5日に10%安となったが、それでも孫は日本で最も裕福な人物の座を譲ってはいない。

サクソバンクのチーフ投資ストラテジストを務めるチャル・チャナナは、「ソフトバンクは、アジアのAI関連銘柄の中で最もベータ(市場感応度)の高い銘柄だ」と述べた。彼は、ソフトバンクのような銘柄は市場の変動に非常に敏感だと説明し、「この急激な売りは、企業固有のニュースというよりも、高成長テック株に対する投資家心理の変化を反映している。また、日経平均株価に占めるソフトバンクの比重が高いため、これが市場全体の下げをさらに拡大させている」と付け加えた。

投資家の間では、一部のAI関連企業が投資家の高い成長期待に応えられないのではないかという懸念が広がっている。そうした不安は、米国に上場する複数のテック企業が前夜に発表した決算が低調だったことでさらに強まった。AIチップメーカーのアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は、第4四半期の売上見通しで投資家を失望させた。AI向けサーバーを提供するスーパー・マイクロ・コンピューターの決算も、市場予想を下回った。

5日、アジア市場が取引を開始するとともにリスク回避のムードが広がり、日本の代表的な株価指数である日経平均株価は2.5%下落、韓国のKOSPI指数も2.9%下落した。ソフトバンクはChatGPTの開発元であるOpenAIに複数回に渡り資金を投じていることから、同社株は今やOpenAIへの間接的な投資手段として見なされている。OpenAIは、10月にソフトバンクやスライブ・キャピタルなどに従業員持株の一部を売却した際の評価額が5000億ドル(約76兆9700億円)に達したが、依然として非公開企業であり、一般投資家が直接投資する手段は存在しない。

「ソフトバンクグループは、テクノロジーサイクル、特にOpenAIに強く連動している」と、シドニーを拠点とするMSTファイナンシャルの上級アナリスト、デイビッド・ギブソンは述べた。

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翻訳=江津拓哉

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