CEOs

2025.11.06 17:00

イーロン・マスク「150兆円」報酬計画はテスラに再び奇跡を起こすか?

イーロン・マスク(Photo by Antonio Masiello/Getty Images)

強気派が報酬案を支持、自動運転やロボタクシーの未来に賭ける投資家

ウェドブッシュ証券の株式アナリスト、ダン・アイブスをはじめとするテスラ強気派の投資家たちは、マスクの報酬案が「圧倒的多数の株主承認」を得ると見ている。「要するに、注目の株主総会でマスクの報酬パッケージが承認されれば、自動運転やロボタクシーの開発というテスラの今後の目標を前進させる上で大きな1歩となるだろう」と、アイブスはリサーチノートに記した。

advertisement

これまでの経緯が示す通り、マスクに関する報酬案はこれまで例外なく株主の承認を受けてきた。そうした流れを踏まえれば、アイブスの見立ては的を射ていると言えるだろう。だが、ガーバーは今回に限っては、インデックスファンドの投票動向次第で結果が変わる可能性もあると見る。

「通るとは思う。ただし、絶対とは言い切れない。もしインデックスファンドが反対票を投じたら、どうなるか分からないからね」とガーバーは語る。「インデックスファンドは、いわば“見えない脅威”のような存在なんだ」。

かつての“一点集中”が現在は“注意散漫”に──次に進むための資質とは

マスクがテスラに関わり始めたのは、今から約20年前のことだった。最初は主要な出資者として参加した彼は、誰もが想像しなかったほどの成功を収めた。2008年当時、テスラは資金が底を突き、創業期の顧客や投資家たちに必死で支援の継続を訴えていた。同社が瀕死の状態から立ち直ったのは、マスクの一点集中の姿勢があったからこそだ。

advertisement

だが今では、6社もの企業の経営を掛け持ちし、日々の多くをSNS上での挑発的な発言に費やす彼に、かつての集中力は見られない。1兆ドル(約154兆円)分の株式を手にしたとしても、この注意散漫な姿勢が変わることはないだろう。

「テスラとスペースXをここまで導いたマスクの功績を少しも貶めるつもりはないが、少なくとも数年前と比べると、今のマスクはまったく別人のように見える」とムクンダ教授は語る。「マスクが見せてきた魔法とは、常識を超えた新しいことを実現する力だった。だが、ある地点に到達するための能力と、そこから次に進むための能力は必ずしも同じではない。そして、ある地点まで導いた人物が、その先を導けるとは限らないのだ」。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事