ここで言う「謝り、許すと考える」とは、実際に相手を許すという意味ではありません。彼女の場合なら、いやみを言うお姑さんとそれまでの言動を許す必要はないのです。
そうではなく、「謝り、許す」という思考を自分の頭の中に浮かべるだけで、脳が「ごきげん」の方向に切り換わる。いわば自分を解放するための合言葉のような思考の1つなのです。心に引っかかっているトゲを自ら手放すイメージですね。
私たちの脳は、これまでの経験の中で「謝り」「許す」という思考が心を軽くすることを知っています。だから実際に謝らなくても、許さなくても、ただそう考えるだけで、自分の心をごきげんに傾けることができるのです。
実際に伝えずただ考えるだけでも
たとえば、私の個人セッションに来る前に、奥さんとケンカしてしまった経営者の男性がいました。彼は、セッション中に奥さんに対して「今朝はごめん」と思うことを繰り返しました。実際に伝えているわけではないのです。彼の心が軽くなったのは、謝罪を奥さんに伝えたからではありません。「謝り、許す」と自分でただ考えたことで、自分の気持ちがごきげんに切り換わったのです。
この男性は、その後もただ「謝り、許す」と考えることを繰り返すうちに、だんだんと心を整えられるようになっていったそうです。
そして、相談者の彼女はごきげんな状態でお姑さんに接するようになって、心が持っていかれなくなると、視野が広がって、いろんなことが見えてきたと言います。しばらくして、彼女がメールをくれました。
「私、ほんとうはお姑さんと仲よくしたいと思っていたんです。でも自分は嫌われていると思っていたから寂しかったんです。ある日、冷蔵庫を開けて気づいたんです。お姑さんはよくお菓子を買ってくるのですが、いつも2個あって……主人は甘い物が嫌いだから、たぶん私の分だったんです。お姑さんなりに、私のことを気にかけてくれていたんだと思います」
「ごきげん道」を歩くと、また新しい気づきがあるかもしれません。
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