努力しているのに報われない、頑張っているのにつらいだけ――そんな悪循環から抜け出せずにいる人は少なくありません。
結果ばかりを追い求める「結果エントリー」ではなく、まず心の状態を整える「心エントリー」という生き方があります。スポーツドクターの辻秀一さんの著書『いつもごきげんでいられる人、いつも不機嫌なままの人』(サンマーク出版)から、感情に振りまわされない「ごきげん道」を実践して価値観が180度変わった会社員女性のエピソードを抜粋してご紹介します。
「もっと頑張らなきゃ」と思い込んでいた会社員の転機
私のワークショップを受けた女性から、こんなメールをいただきました。
「先生に出会うまでの私の座右の銘は『努力によって叶わない夢はない』でした。学生時代に夢中になっていたテニス部の憧れの先輩からの言葉でした。私も周囲からは〝努力の鬼〟と呼ばれ、自分で言うのもなんですが実力もありました。
しかし、どうしても試合では思うように勝てなかったのです。今思えば勝つことばかりにとらわれていて、思い切って攻められなかったり、緊張して体が動いていなかったりしたんですね。そして、勝てないのは努力が足りないからだと思い、また練習に明け暮れる……そんなことの繰り返しでした」
そういう彼女は、社会人になって働きはじめたころからずっと、毎月の売上目標を達成するために頑張ってきたそうです。終電で帰ることもしばしば、土日も出社して頑張りました。
そして、目標を達成したときはやはりうれしかったし達成感もあったそうです。
しかし、彼女のメールは、こんなふうに続いていました。
「でも、私がいつも感じていたことは、『つらい』ということでした」


