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2025.11.28 16:00

戦略から実行への溝に橋をかける デザインとデータが描く成功体験へのアプローチ(前編)

ENND Partnersはいかにして企業に「成功」をもたらそうとしているのか。現場で立案を担当するふたりにその裏側を聞いた。今回はこのインタビューを前編と後編の2回に分けてお届けする。


戦略と実行の間には溝がある。その溝に橋をかけなければ、現場の実行につながらない。だから紙の上では完璧に見えるプランも空回りする。

戦略とはデータに基づいた論理的な計画だ。一方、それを実行する人間には複雑な感情がある。これが溝を生む。協働型のプロフェッショナルサービス会社「ENND Partners」(以下、ENND)のミッションのひとつは、この溝に橋をかけることである。

同社パートナー兼マネージングディレクターの鷲見健一郎(以下、鷲見)は、「従来、多くのコンサルは、支援企業に対し、業績や市場調査などの数量的な分析に基づいて、『この戦略がベスト』と提示してきました。しかしそれで人は動いたでしょうか」と問いかける。

「従業員は自分の業務を変える必要性に納得できなければ動きません。だからこそ私たちは、現場の人々の感情や動機に強く働きかけ、実際に組織を動かす仕組みを設計するのです」

社員自ら行動を起こす仕組みは、いかに組織に組みこまれるのか。鷲見のチームが支援する大手インフラ系事業会社の例を見てみよう。

なぜ「語り」を研修に入れたか

この企業は気候変動問題への対応のため、大きなビジネスモデルの転換と、それに伴うオペレーションの変革を迫られていた。

経営層は中長期計画を策定していた。だが、数万人規模の社員一人ひとりに変革への意識を浸透させるのは容易ではない。鷲見に与えられた課題のひとつは、社員の働き方、マインドセット、スキルを変革するプログラムをつくり、組織全体に根付かせてほしいというものだった。

大企業は普通、多くの部署を抱え、その業務内容もさまざまだ。そのため同じ会社でも自分の部署以外の苦労をリアルに感じるのは難しい。結果として、部署ごとにサイロ化が進み、経営層が掲げる戦略が自分の仕事にどうかかわるのかを理解できない社員が増えてしまう。鷲見はそこに「戦略と実行の溝」が潜んでいると見た。

そこで導入したのが、部署ごとの業務内容や課題について社員の理解を深めるワークショップだ。といっても、形式的な知識伝達型の研修ではない。

「そのワークショップでは、他部署で働く人々の日々の業務やその裏にある感情を『ナラティブ(語り)』として台本をつくり、プロの俳優を招いて朗読してもらったり、参加者に人前で読んでもらったりしました。これにより参加者は他者の『痛み』を追体験し、なぜそのような業務が必要なのか、業務の背後にどんな葛藤や苦労があるのかを把握できます。この共感が、戦略を実行に移す原動力になります」(鷲見)

他部署の業務内容や苦労を自分事としてとらえられれば、有望なオペレーションが生まれる可能性は高まる。

「相手の痛みがわからなければ、いかにそれを解決するかという議論が始まりません。逆に相手の立場への共感や自分が変わるべき理由に腹落ちがあれば、力強く動けます」(鷲見)

論理だけでは動かない人間の感情も丁寧にくみ取り、戦略を着実に実行する組織をつくる。この姿勢は「人間中心主義」を掲げるデザイン思考にも通じる。

「デザイン思考とは『望む方向へかたちづくる力』と言いますが、経営の本質もまた組織をどの方向へ導くかを決断し、そのかたちを実際につくり出すことにあります。デザイン思考と経営は親和性が高いのです」

ENNDはデザイン思考の力を経営の現場にもち込み、戦略と実行をつなぐ独自のアプローチを追求してきた。といっても、「自分たちはデザイン思考の輸入販売代理店ではない」と、鷲見と同じくENNDのパートナー兼マネージングディレクターである小森博仁(以下、小森)は強調する。

「日本企業の文化や組織にフィットさせるには、デザイン思考のエッセンスを再構成する必要がある。そこが難しいところですが、やりがいを感じるところでもあります」(小森)

日本企業では、欧米のようなトップダウンの変革ではなく、丁寧な根回しや多くの関係者の納得が物事を動かす。この構造を理解せずにデザイン思考を導入しても、現場は動かない。

ENNDは戦略自体を軽視しているわけではない。小森が支援する大手事業会社のケースでは、戦略立案にも深く関与した。

ここはグローバルなサービス企業へと事業の軸足を移す必要に迫られていた。同社はすでに「現在の改善」に強いコンサルと取引を始めていたが、将来の「伸び代」を創造するためのパートナーが欠けていた。この抜け落ちた部分を埋め、新規の海外事業戦略の策定から実行までを支援する存在として浮上したのがENNDだった。

戦略策定の最初のフェーズでは市場・消費者動向を分析。ここまでは従来のコンサルの取り組みとさほど違いはない。ただし経営層と話し合いを進めるなかで、盲点に気づいたと小森は語る。

「アジアにおける顧客ターゲット層が分類されていたのですが、地域、所得、性別といった大まかな項目しかなく、ホームカントリーである日本市場と比べると具体性が十分とは言えませんでした。例えば大都市に住む富裕層がターゲットになりうるとしても、どんな生活スタイル、どんなニーズをもっているのかなど、もっと細かく分類できるはずです。顧客理解の解像度を上げる必要がありました」

このケースでは、世界に拠点をもつIDEOとも連携し、各地域の事情を踏まえたアドバイスを得て、海外事業戦略の立案に生かしているという。

企業の根幹にかかわる構造的変革と能力構築には時間がかかる。

「我々のチームはフェーズごとに柔軟に構成を変えます。戦略策定フェーズでは、従来のコンサル的な市場分析や企業の特徴の把握に長けた人材を中心に、実行・変革フェーズでは市場のインサイトを探るためのデザイン思考の専門家を中心にメンバーを集める、という具合です」(小森)

▶︎後編の記事はこちらから

ENND Partners
https://enndpartners.com/


わしみ・けんいちろう◎ENND Partnersパートナー兼マネージングディレクター。広告代理店や事業会社での経営/事業再生を経験し、コンサルティング業界に参画。デロイトデジタルの立ち上げ、ボストンコンサルティンググループを経て独立、The Yellow Sheep社を創設したのち現職に至る。

こもり・ひろひと◎ENND Partnersパートナー兼マネージングディレクター。ネット専業広告代理店勤務を経たのち、Kearney、デロイトデジタルの立ち上げを経て、ボストンコンサルティンググループへ。鷲見と共同創設したThe Yellow Sheepを経て、現職。

promoted by ENND Partners | text by Shinya Midori | photographs by Toru Hiraiwa