健康

2025.11.10 08:15

インフルエンザの流行を早めたのは猛暑と秋の寒暖差 医師が説く「香港A型」の危険性

Getty Images

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例年は11月の下旬からインフルエンザが流行り始めるのだが、今年はそれより2カ月近く前の10月3日にすでに流行入りが公表された。どうしてそんなに早いのか。それには夏の猛暑と秋の激しい寒暖差に原因があった。

大正製薬は、全国20代以上の男女1000人を対象に、インフルエンザのワクチンに関する調査を実施した。それによると、10月時点でワクチンを接種した人は81人。受けないという人が475人にのぼった。

受けた人に理由を聞くと、毎年受けているからという人が多かったが、流行時期が早まっているからと答えた人も多かった。

反対に、受けない人に理由を聞くと、お金がもったいない、効果に疑問を感じる、自分は感染しないと思う、時間がない、注射が嫌いとさまざまだ。

こうして意見が割れているところを見るまでもなく、ワクチンを打つ、打たないの判断は悩ましいところだ。今年の流行の中心は「香港A型」。感染したら重症化リスクが高いが、ワクチンが効きにくいという困った特徴がある。ならば打たなくていいのか。しかし感染して重症化したら命にかかわる。また感染しても発症せず、健康保菌者としてウイルスをまき散らすのも迷惑な話だ。

感染症に詳しい立川パークスクリニック院長の久住英二医師は、寒くなる前の、早めの接種を推奨している。今年のワクチンは「A型2種+B型1種」というもので、接種してから効果が出るまでに2週間かかるそうだ。そのため、集団生活で感染リスクが高い子どもや重症化しやすい高齢者、基礎疾患がある人はなおさら早めの接種が望ましい。

調査の監修を担当した立川パークスクリニック院長、久住英二医師
調査の監修を担当した立川パークスクリニック院長、久住英二医師

感染して症状が軽い人も、油断せずに早めに検査して治療を受けることが大切だと久住先生は指摘する。予防法はいつものとおり、マスク、手洗い、うがいだ。飛沫感染と接触感染の両方を意識して対処すること。

ところで、どうして今年は流行が早かったのか。久住先生は、猛暑による夏バテ、秋の激しい寒暖差による秋バテが重なり、日本人の自律神経やホルモンバランスが乱れ、抵抗力が落ちたためだと推測している。体調不良が完全に快復するまでに1〜3カ月かかるそうだ。それだけに体調管理と予防が大切になる。ワクチンも重要な対策のひとつに加えるといいだろう。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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