少なくとも1人の大口投資家はすでに報酬案への反対を表明している。ノルウェー政府系ファンドを運用するノルウェー中央銀行投資管理部門(NBIM)が、同計画に賛成票を投じない意向を示したのだ。同ファンドは「マスクが同社に価値をもたらしたことは認める」としながらも、「報酬全体の規模、希薄化の懸念、そしてキーパーソンリスクへの対策不足を懸念している」と述べた。
こうした懸念は、議決権行使助言会社のグラス・ルイスとISSが投資家に対して報酬案への反対を呼びかけた際にも警告された。これに対しマスクは、彼らの懸念を「ばかげている」と切り捨て、「企業テロリズムだ」と非難していた。
さらに、10月初旬には、ニューヨーク市とメリーランド州の会計監査官、コネチカット州、バーモント州、コロラド州、マサチューセッツ州、ニューメキシコ州、ネバダ州の財務責任者らを含む政府関係者、および複数の大口投資家グループが、株主に対し報酬案への反対票を投じるよう求める書簡を送っている。
一方で、マスクの報酬案を支持する株主も存在する。バロン・キャピタルは、この計画はマスクをCEOとして留任させるために必要だと述べた。同社の創業者でCEOのロン・バロンは声明の中で、マスクは「同社にとって最も価値ある資産」であるとし、これまでのリーダーシップを称賛した。
2024年、投資家たちはマスクに対して約560億ドル(約8.6兆円)規模の巨額報酬パッケージを承認した。しかし、その後デラウェア州の裁判官によって無効とされ、テスラはこの決定を不服としてデラウェア州最高裁判所に上訴した。同社は10月に、報酬計画を支持する主張を展開している。
今回のテスラ株の下落は、同日に起きたハイテク株全体の下げの流れにも続いたものである。その例として、AI企業であり防衛請負業者でもあるパランティアの株価は8%下落した。同社株はこれまで、年初来で175%以上上昇するという大きな成功を収めていた。


