今を犠牲にしない生き方へ
将来のために備えることと今を楽しむことは、もはや対立するものではない。心と体の健康を保ちながら日々の充実を大切にする、そんな意識が世代を超えて広がっている。EQOのリポートでは、こうした生活者意識を反映した事例も紹介されている。
『ワークマン』は、防水・防寒・防炎などの機能性ウェアを日常ファッションに融合し、備える服を慣れる服へと変えた。また『IZAMESHI』は、おいしく食べられる保存食を提案し、非常食を日常に取り込んでいる。
メンタルケアの分野では、AIが感情を可視化する『emol』や、日記を解析して思考傾向をフィードバックする『muute』が心身を整えるツールとして注目されている。さらに、腸内環境を整えるプレバイオティックソーダや、口内ケアと健康を両立するpHバランスウォーターなど、今の楽しさと未来の安心を同時に叶えるプロダクトも広がっている。
住空間も不安を安心に変換するための取り組みが進んでいる。健康データをモニタリングし、住むだけで快適な環境を整える『ウェルネス・スマートハウス®』は、未来リスクを飼い馴らす新しい住まいのかたちとして注目されている。
やわらかな強さが、次の安心をつくる
生きていく上でリスクをゼロにすることはできない。それでも人は、少しずつ置かれている環境に慣れながら、変化の中で自分らしい安定を見つけていくものだ。EQOのリサーチャーが提唱する「無毒化スキル」とは、まさにその変化を受け止め共に生きる力を指す。
備えることを義務ではなく日常の知恵に変え、リスクと共に過ごす力を育てる。変化を恐れず、柔らかく受け止めること。その姿勢こそが、これからの安心を支える新しいスタンダードになりそうだ。


