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2025.11.06 12:30

共同創業から20年、米掲示板「レディット」CEOがついにビリオネアに

Redditの共同創業者でCEOのスティーブ・ハフマン(Photo by Spencer Platt/Getty Images)

2015年に経営危機で呼び戻されCEOに復帰、成果報酬で筆頭株主となる

一方のハフマンは、現在レディットの筆頭個人株主となっている。なぜなら彼は、2015年に経営危機が続いていた同社に呼び戻され、その後は成果連動型報酬制度によって310万株(持ち株比率2.3%)を保有するに至ったからだ。ハフマンの残りの資産はレディットの株式オプションと、1億9000万ドル(約293億円)相当の現金およびその他の投資で構成されているとフォーブスは推定している。ハフマン本人はこの記事へのコメント要請に応じなかった。

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ビリオネアのCEOたちの間では巨額の株式報酬が珍しくない。今週もテスラの株主がイーロン・マスクへの1兆ドル(約154兆円)規模の報酬案を承認するかどうかを審議しているほどだ。しかし、ハフマンのようにほぼゼロからここまで大きな持ち株を築いた経営者はまれだ。

レディットは2024年の新規株式公開(IPO)の資料の中で、前年にハフマンと最高執行責任者(COO)のジェン・ウォンの報酬を大幅に引き上げた理由を説明している。それによれば、従来の報酬制度が「本来意図していたインセンティブを十分に与えられていなかった」ためだという。ハフマンの報酬は2023年に1億9320万ドル(約298億円)へと跳ね上がった。

CEO就任時の危機、有害コンテンツとモデレーターの大規模抗議

もっとも、この報酬は「正当な対価だ」と主張することもできる。ハフマンが2015年にCEOに就任した当時、レディットはまさに非常事態に陥っていた。運営は投稿内容の管理にほとんど介入していなかったが、一部の「サブレディット」では悪質な投稿や嫌がらせが横行していた。そこへ追い打ちをかけたのが、ボランティアのモデレーターとの主な連絡役だった人気社員の解雇だった。これに抗議したモデレーターは、自分たちのサブレディットを一斉に非公開化し、「グレート・レディット・ブラックアウト」と呼ばれる騒動に発展した。その1週間後、ハフマンがCEOに就任した。

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「その当時は、レディットが“何も禁止しない”という方針を取ってから10年が経った時期だった」とハフマンは最近、ポッドキャスト番組『The Best One Yet』で振り返っていた。「あのときの決断は創業者にしかできなかったと思う。というのも、当時のチームは本当に怖がっていたんだ。『何かを変えたらレディットを壊してしまうかもしれない』と彼らは言っていた」。

コンテンツポリシーを初めて導入、違法行為や差別的なサブレディットを一斉禁止

ハフマンはまず、レディット史上初となるコンテンツポリシーの導入に着手した。その中には、スパム、いじめ、暴力の扇動、違法行為などの禁止が盛り込まれていた。チームはすぐに、アニメで描かれた児童ポルノに特化したもの、「黒人という疫病のない健全な社会」を掲げる人種差別的なサブレディット群など、問題のある複数のコミュニティを一斉に禁止した。

また、違法ではないが特に不快と判断したサブレディットについては「隔離(quarantine)」という措置を導入し、閲覧にはユーザーの明示的な同意を必要とするようにした。その一例が「r/PicsOfDeadKids」で、数年後には完全に禁止された。このように隔離対象になったサブレディットが最終的に削除されるケースは少なくない。目的は、利用者にとって快適な空間をつくると同時に、広告主にとっても魅力的なプラットフォームにすることだった(レディットは隔離対象コンテンツには広告を表示していない)。

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翻訳=上田裕資

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