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2025.11.06 12:30

共同創業から20年、米掲示板「レディット」CEOがついにビリオネアに

Redditの共同創業者でCEOのスティーブ・ハフマン(Photo by Spencer Platt/Getty Images)

Redditの共同創業者でCEOのスティーブ・ハフマン(Photo by Spencer Platt/Getty Images)

米掲示板サービスReddit(レディット)の共同創業者兼CEO、スティーブ・ハフマン(41)は、好調な広告売上に後押しされてビリオネアの仲間入りを果たした。現在彼は、同社を人工知能(AI)企業にとって欠かせない存在にするという新たな目標に挑んでいる。

第3四半期は純利益約251億円、上場後5期連続の黒字達成

ついに成長軌道に乗った。2005年6月の創業以来19年間にわたりほぼ赤字続きだった。レディットは、上場後に初めて黒字を計上してから1年後、過去最高の業績を発表した。同社が10月30日に発表した第3四半期の純利益は1億6300万ドル(約251億円。1ドル=154円換算)に達し、上場から約1年半で5期連続黒字を達成した。

株価は年初来約75%上昇、ハフマンの資産は約1848億円

株式市場もこの発表を好感した。31日のレディット株の終値は前日比7.5%高の208.95ドルとなり、過去1年で約75%高となった。これにより、ハフマンの資産は12億ドル(約1848億円)に達した。

「第3四半期の業績は好調だった」とハフマンは30日の決算説明会で述べ、レディットを「人間による、人間のためのプラットフォーム」と称賛した。そして、ネットの一部を埋め尽くす低品質なAI生成コンテンツを暗に批判するようにこう続けた。

「レディットは他社の真似をしようとはしていない。私たちは、自分たち自身の最良の姿を反映するプラットフォームであり、インターネットにとって最も必要な『人々があらゆる話題でつながり、真に役立つ情報を得られる場所』であり続けることに集中している」。

「本物の人間」による推奨が価値を高め、DAU倍増と検索流入560%増

本物の人間によるレコメンデーションは、現在極めて貴重だ。ボットやスポンサー広告があふれるネット空間の中で、レディットはより信頼できる情報源として注目を集め、ここ2年で人気が急拡大している。日次アクティブユーザー(DAU)数は、2023年夏以降にほぼ倍増した。検索エンジンでもレディットのリンクが目立つようになり、デジタルマーケティング会社Semrushのデータによれば、オーガニック検索からの流入は2年前と比べて560%以上増えている。

2006年、創業者としての持ち株を約15億4000万円で売却

インターネット業界では、フェイスブック、ツイッター(現X)、リンクトインといったSNSが2000年代初期にすでに複数のビリオネアを生み出していたことを考えると、ハフマンが今になってその仲間入りを果たしたのは意外に思えるかもしれない。しかもレディットは、Similarwebの9月のデータで世界で7番目に多く訪問されるウェブサイトだ。リンクトイン、TikTok、ネットフリックスを上回っているのだ。それでもハフマンがビリオネアになっていなかった理由は、2006年に創業者としての持ち株をすべて手放していたからだ。

2005年6月に会社を立ち上げてから約1年後、ハフマンと共同創業者のアレクシス・オハニアン(現在はテニス界のスター、セリーナ・ウィリアムズの夫でベンチャーキャピタリスト)は、レディットをコンデナストにわずか1000万ドル(約15億4000万円)で売却した。当時の彼らにとっては「破格の金額」だったと後に語っている。

その当時、収益化の見通しも立たず、少人数のチームで急成長するサイトを運営する負担に押しつぶされそうになっていた彼らにとって、この買収は「救い」に見えたのだ。短期的にはそうだったかもしれないが、長期的には莫大な利益を逃したことになる。2014年にはレディットの企業価値は5億ドル(約770億円)に達していた。

オハニアンは2014年にレディットの取締役に加わったものの、2020年に退任した。その在任中に彼は一部の株式を買い戻したと語っているが、彼の資産の大部分は他のスタートアップ投資によるものとみられる。

次ページ > 2015年に経営危機で呼び戻されCEOに復帰、成果報酬で筆頭株主となる

翻訳=上田裕資

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