欧州

2025.11.06 10:00

中国製無人機から脱却するウクライナ 部品も自国調達へ

ウクライナ東部ドネツィク州で、無人機(ドローン)を準備する女性兵士。2024年5月31日撮影(Viktor Fridshon/Global Images Ukraine via Getty Images)

ウクライナ独自の代替品

ウクライナ製のマビクの代替品としては、ウクロプターやシマビクなどさまざまなものがある。これらはDJI製無人機より大型で、長距離通信と妨害耐性を備えており、価格も高い。他方で信頼性が高いため、費用対効果が高い可能性がある。

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ウクライナの無人機メーカー、フロントラインロボティクスは、同社の偵察ドローン「ズーム」が激しい電子戦環境下での運用を目的に一から設計されたと説明している。筆者の取材に応じた同社の広報担当者は、「当社は研究開発に多額の投資を行い、費用対効果に優れた電子戦耐性通信システムの開発に取り組んできた。ロシアとの戦争における電子戦は、無人機損失の主な原因の1つであり続けているからだ」と語った。

これにはAI搭載の視覚ナビゲーションシステムが含まれており、全地球測位システム(GPS)が妨害された場合でも無人機が進路を見つけ出せるようにする。これは戦場で頻繁に発生する現象だ。フェールセーフシステムとは、GPSと操縦士との通信が両方とも途絶えた場合でも、無人機がピックアップ地点に戻ることができるようにする技術だ。

ウクライナ製無人機の金額はマビクより高いが、残存可能性の高さによって相殺される。フロントラインロボティクスの広報担当者は次のように説明した。「当社にとって重要な指標は無人機の単価ではなく、任務当たりの費用だ。「一般的なマビクが1機当たり約60回の任務を遂行するのに対し、当社のシステムは1機当たり平均約300回の任務をこなす。同等の購入価格で、任務当たりの費用は5分の1に抑えられており、これにより当社の無人機を運用する軍事部隊ははるかに優れた経済性を達成している」

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無人機の国内製造は国防の鍵

だが、マビクユーザーの心をつかむことは容易ではない。問題の1つは、操縦士がDJI製マビクを長年使用し、その癖に慣れ親しみ、ブランドへの忠誠心を築いてきたことだ。もう1つは、評論家が常に指摘しているように、DJIは世界最高の製品を作り、それを絶えず改良しているということだ。同社は民生部門ですべての競合を打ち負かした巨大企業であり、ウクライナのメーカーはそれに比べれば小さな存在だ。

人々の命が懸かった状況で、信頼するメーカーから乗り換えるよう促すのは、長い闘いとなるだろう。代替機器の質については、多くの懐疑的な見方がある。頑固なアイフォンユーザーをアンドロイドに切り替えさせる方がむしろ簡単かもしれない。

より微妙な問題は、これらの現地製造無人機がどの程度「ウクライナ製」なのかという点だ。高品質カメラなどの部品は中国以外で調達するのが難しく、一部のメーカーは依然として同国製の部品に大きく依存している。しかし、フロントラインロボティクスによれば、中国からの部品調達比率はわずか15%で、現在ではほぼすべての部品がウクライナ国内で調達可能だという。

つい最近まで、無人機のモーターは輸入品だった。しかし現在、ウクライナのメーカー、モーターGは月産10万台を超え、さらに増加傾向にある。ウクライナは現在、バッテリーや飛行制御装置、さらには低価格の熱探知カメラまで国内で製造している。

豪ニューサウスウェールズ大学のオレクサンドラ・モロイ博士は、ウクライナ侵攻から得られる重要な教訓は、無人機の自国生産の重要性だと指摘する。短距離FPV無人機と長距離攻撃無人機は国防の主要な柱となっている。戦術偵察無人機は、完全な自立の構築に役立つ。

他の国々は戦争の差し迫った危機がないため、無人機製造のエコシステム構築に後れを取ってきた。他国は、ウクライナが先駆的な道を切り開いた方法を注視している。しかし、それは簡単なことではない。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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