スポーツ

2025.11.04 17:00

ドジャースWS連覇の勝因は「札束の力」ではない、選手たちのガッツだ

MLBワールドシリーズの優勝トロフィーを掲げるクレイトン・カーショウと連覇に沸くロサンゼルス・ドジャースの選手たち。2025年11月2日、カナダ・トロントのロジャース・センターにて(Gregory Shamus/Getty Images)

MLBワールドシリーズの優勝トロフィーを掲げるクレイトン・カーショウと連覇に沸くロサンゼルス・ドジャースの選手たち。2025年11月2日、カナダ・トロントのロジャース・センターにて(Gregory Shamus/Getty Images)

米東部時間11月1日の夜(日本時間2日昼過ぎ)、米大リーグ(MLB)の頂点を決めるワールドシリーズ第7戦の9回土壇場で、ロサンゼルス・ドジャースは同点に追いついた。その瞬間、全米の野球ファンの間で不満の声が高まるのを聞いた。口調こそさまざまだったが、どれもこんな調子だった。「なんてこった、いちばん金に物を言わせたチームがまた勝つんだな!」

トロント・ブルージェイズのファンはこの日、1993年以来となるワールドシリーズ優勝の栄光が第7戦の最終盤になって指の間から滑り落ちるのを目の当たりにした。ボー・ビシェットの3ラン本塁打で3点のリードを築いたものの、その優位は最後の最後で消え失せた。

結局、ブルージェイズは延長11回で5‐4で敗れた。そして、総年俸3億2128万7291ドル(約500億円)、大富豪のオーナー、多くのコーチ陣とコンピューターを擁するドジャースが、野球界の誰もが焦がれるタイトルを2年連続で手にした。さすがだね!……と、こう思うかもしれない。だが、実はそうでもない。

ドジャースの優勝を軽んじるのは造作もないことだ。しかし、あまりにも簡単に勝ったという見方は、安易に過ぎる解釈だ。ファン心理から離れて理性的に考えれば、ドジャースが勝つ運命にあったわけではないことがわかる。

むしろ、彼らは限界まで追い詰められ、それを乗り越えたのだ──札束の力によってではなく、根性と、逆境から立ち上がる粘り強さによって。

実際、ドジャースの選手層は「MLBで最も金をつぎ込んだ」ものではない。今季の総年俸最高額チームはニューヨーク・メッツである。MLBの歴史を振り返れば、資金力で戦力を強化してタイトル獲得に挑むチームは数多く存在した。だが、こうしたチームが必ず勝つとは限らない。たとえばニューヨーク・ヤンキースは2009年に優勝して以来タイトルと無縁だ。

メッツは2024年シーズンも総年俸ランキング1位で、ヤンキースは2位だった。けれども昨年のワールドシリーズを制したのは、メッツよりも5000万ドル(約77億円)以上も年俸総額が少ないドジャースだった。

才能ある選手を「買う」のは簡単かもしれない。だが、その才能を生かして勝利を得ることは、誰にでもできることではない。

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翻訳・編集=荻原藤緒

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