木星は、内太陽系（太陽系の内側にある岩石惑星と小惑星帯を含む領域）の構成を可能にして組み立てるだけでなく、地球自体の形成に必要な条件を作り出すのにも貢献しているとする最新の研究論文が、学術誌Science Advancesに掲載された。
巨大ガス惑星の木星が11.5年という公転周期を持つのは、これまでに観測が可能になっている太陽系外惑星系の間ではやや異例であることが以前から知られている。
だが、今回の最新研究で研究チームが開発したコンピューターモデルにより、木星が初期の内太陽系の構成をかたち作る上でもたらしたタイミングと影響に関する予想外の新知見が得られた。約45億6000万年前の太陽系の誕生から150万年以内という早期に木星が成長したことは、地球や他の地球型惑星の原材料物質が集積した位置に直接的な影響を及ぼした。
論文の筆頭執筆者で、米ライス大学の惑星科学専攻大学院生のバイバブ・スリバスタバは、取材に応じた電子メールで、内太陽系からガスを減少させることにより、木星は現在ハビタブルゾーン（生命生存可能領域）と呼ばれている領域に固体物質を維持する助けになったと説明する。
木星形成のタイミングは、地球の原材料物質が結合して成長できる最適な位置にとどまるために極めて重要だったことを、今回の研究結果は示唆していると、スリバスタバは続ける。その意味で、早い段階での木星の形成は、地球のような生命を育む惑星の形成を可能にした主要因の1つだった可能性があるという。
岩石惑星の形成
スリバスタバによると、木星の早期の成長は、太陽系の進化の形を変え、岩石惑星形成のお膳立てをした。地球型惑星自体が最終的な大きさに達するまでに数千万～数億年を要した一方、惑星の原材料物質（惑星の胚子）は最初の数百万年以内に形成されたという。
ガスが豊富な惑星系円盤内では、地球型惑星の原材料物質は本来であれば、ガスが物質に及ぼす作用によって内側に向かって螺旋を描いて落ち込んでいき、失われていただろうと、スリバスタバは説明する。だが、木星の存在によって引き起こされた「障害」により、それが起きるのを回避できたのだ。
