従業員が変化を主導している理由
従業員はマイクロシフティングを求めるだけではない。そのために対価を払う意思もある。Owl Labsの調査では、従業員は柔軟な勤務時間のために年収の9%を、週4日勤務のために8%を犠牲にしてもよいと回答している。柔軟性は報酬と同等の価値を持つようになっており、それにはもっともな理由がある。
育児危機
調査対象の従業員の62%が家庭で育児を行っている状況では、硬直的な9時—5時は現代の生活に適合しない。親は長らく、いわゆる「セカンドシフト(家庭での第二の勤務)」を実践してきた。すなわち、下校の迎え、夕食、就寝のルーティンのために一時的に仕事から離れ、子どもが寝た後に再びログインするという形である。しかし今や、親の68%が育児責任が仕事のパフォーマンスに悪影響を及ぼすのではないかと懸念している。その不安は、フルタイム出社の従業員(71%)のほうが、リモートワーカー(48%)よりも高い。マイクロシフティングは、罪悪感や評価低下を招かずに、両立を可能にする手段となりうる。
複業(ポリエンプロイメント)
変化を求めているのは親だけではない。従業員の5人に1人が、主業に加えて副業を掛け持ちする「ポリエンプロイメント」(poly-employment)の状態にある。従業員の59%が、従来の勤務時間内に私的な予定を入れていることからも、就業時間の境界はすでに曖昧になっている。より短く柔軟なシフトは、単に便利というだけではない。不可欠なのだ。
追跡より信頼が重要である理由
マイクロシフティングの最大の障壁は「信頼」である。多くのリーダーはいまだに「見えていること=生産性が高いこと」と考えがちだが、データはそれに反している。Owl Labsによれば、マネジャーの69%が、ハイブリッド勤務やリモート勤務によってチームの生産性が向上したと考えている。それでも企業は従業員監視ソフトへの投資を続けている。自社が何らかのモニタリングツールを使っていないと答えた従業員はわずか19%であり、47%は監視を主要な職場の懸念事項に挙げている。
会議税
この信頼不足にはコストが伴う。従業員はハイブリッド会議の立ち上げに平均6分を失っており、27%は会議ごとに10分以上失っていると報告している。3分の2超(67%)が、会議のためのビデオ機器の設定を試みたものの、あまりに難しくて断念した経験があるという。一般に「会議税」(meeting tax)と呼ばれるこの無駄は、リーダーが重視すると言う生産性をむしばむ要因になっている。
燃え尽き(バーンアウト)
従業員の90%が、ストレスは昨年と同程度かそれ以上だと答え、47%が雇用の安定性に不安を抱いている。その結果として、いわゆる「クワイエット・クラッキング」(quiet cracking)──見かけ上は通常運転でも内実は静かに燃え尽きが進む現象──が職場に生じている。マイクロシフティングは、その解決の一助となりうる。必要なときにいったん離れて充電し、集中できるときに戻ることを認めれば、企業は危機に至る前に燃え尽きを未然に防止できるからだ。


