──クルーズは地方創生や観光業界にどれくらい貢献できますか?
MSCは1年間で日本各地に153回寄港しています。各寄港地で乗客の30%が一人あたり約60ドル消費すると仮定すると、1年で総額1273万ドル(約19億円)の経済効果を生み出せる計算になります。
地方創生はMSCも積極的に取り組んでいる点です。ありがたいことに、どこの自治体もクルーズに大きな期待をしてくださって、常に協力的です。この12年を振り返ると、日本の政府も年々クルーズビジネスの重要性を認識してくれているように感じます。
実は7年前から沖縄・那覇市とMSCクルーズは、28年に向けてターミナルの開設に取り組んでいます。全てのクルーズラインが利用可能な、沖縄発の海外旅行の新たなゲートウェイになる予定です。このターミナルは、国内外の旅行者数を大きく増やすことが期待できます。
私は日本の全ての寄港地を、自分の子どものように愛しています。港がある鹿児島は、私の故郷のであるイタリア・ナポリの姉妹都市。桜島を見ていると、たまに故郷を思い出します。クルーズをきっかけに、観光業界やローカルの寄港地が繁栄することは、とても嬉しいことです。
──好調なクルーズ業界における課題、今後の展開について教えてください。
目下、どのクルーズラインも課題は新規顧客獲得なのですが、なかでも若年層をターゲットとしたマーケティングと商品開発にMSCクルーズも積極的に取り組んでいます。
MSCクルーズの顧客は家族旅行や夫婦旅行が多いため、40代以上がほとんどです。これからは女子旅や学生旅行といった、若者を引き寄せられるような短いクルーズを多く提供していきたいと考えています。クルーズ旅行は莫大な予算が必要なイメージがあるかもしれませんが、実はキャビンを選ぶと安価に抑えることができます。
MSCの場合、例えば那覇クルーズなどショートクルーズでは、窓のついていないキャビンは約3万円からあり、1泊あたり約1万円で宿泊できるキャビンもあります。学生はキャビンのクオリティよりも、寄港地での食事や遊びにお金をかけたい人が多いはず。荷物を部屋に置きっぱなしでいろんな町を訪れることができるのがクルーズの魅力。様々な魅力をより認知してもらえるよう、マーケティングしていくつもりです。
世界が愛する旅先である日本のクルーズ市場は、これからも目が離せないほど成長するでしょう。

オリビエロ・モレリ◎1981年ナポリ生まれ。船舶代理店家系に育ち2001年海運業界でキャリア開始。船舶代理店やコンテナターミナルで経験を積み、07年MSCクルーズナポリ入社。同年末UK&アイルランドで商品企画・管理部長、14年MSCクルーズジャパン社長就任。19~21年在日伊商工会議所会頭兼会長。18年MSCスプレンディダ、23年MSCベリッシマ日本導入。24年MSCグループ日本・韓国・東南アジア代表取締役社長に。


