AIデータセンター投資、約4.1兆円の私募債でまかなう財務リスク
メタがAI関連の設備投資を借入金でまかなっている点にも懸念が広がっている。WSJによるとメタの9月末時点の負債は288億ドル(約4.4兆円)。その上で同社は先月、ルイジアナ州で建設中の大規模データセンター「ハイペリオン」の資金調達のため、総額270億ドル(約4.1兆円)の私募債による資金調達契約を締結した。メタは、このプロジェクトでプライベートクレジット大手ブルー・オウル・キャピタルと提携し、20%の持ち分を保有している。
足元の支払原資は次のとおりだ。メタの第3四半期のアンレバード・フリーキャッシュフロー(UFCF)は約123億ドル(約1.9兆円)。UFCFは、利払い・借入の影響を除いた本業キャッシュを指す。つまり公平に説明すると、メタは本業だけで四半期に123億ドル(約1.9兆円)の現金を稼ぎ、リース支払いの原資を自力で用意できる水準にある。データセンターの典型的なリース利率を年約10%と仮定すると、年間支払いは約12億ドル規模(約1836億円。契約条件で増減)。この長期リースの構造は、実質的に自社債や銀行借入の代替に近い資金調達手段となっている。ただし、これは当面の支払余力を示す目安であり、長期の固定負担や資金調達環境の変化といった構造リスクが解消されるわけではない。
サブプライムローンを想起させる、証券化の仕組みに警戒感
一方でこうした取引は、2008年の金融危機を招いたサブプライム不動産ローン取引の構造を想起させ、投資家の警戒感を呼んでいる。
アトランティック誌によると、ブルー・オウルのようなプライベートエクイティ企業は、データセンター建設のための資金を提供または調達し、テック企業はその設備を賃料として返済する仕組みを取っている。投資家で金融コンサルタントのポール・ケドロスキーは同誌に対し、「メタが支払うデータセンターのリース料は、再び金融商品に組成され、売買可能な債券のような形に再パッケージ化される」と説明している。
プライベートエクイティ業界が手掛けるデータセンターのリース市場は、2028年までに8000億ドル(約122.4兆円)規模に拡大するとされ、「サブプライムローンと同様に証券化され、リスク水準に応じてトランシェに分割されている」と同誌は指摘している。
投資対象としてのデータセンターは住宅とは異なるリスクを抱えている。施設自体の劣化が早く、内部の半導体はエヌビディアなどがより高性能な製品を投入することで1〜2年で陳腐化する。また、次世代のAIチャットボットは以前ほど大きな性能向上を見せておらず、超知能の実現に向けた投資の拡大は「日を追うごとに正当化が難しくなっている」とアトランティック誌は論じている。
ウォール街のアナリストは楽観的
それでも投資家はメタの今後に楽観的だ。ウォール街のアナリスト42人の平均目標株価は847ドルで、現状の株価から約30%の上昇余地があるとTipRanksは伝えている。


