生成AI向けデータセンターが米テックの主戦場に移った。アマゾン、グーグル、マイクロソフトはクラウド経由で投資と収益が結び付きやすい。一方、メタはクラウド事業を持たない。投資は主に「広告のターゲティング精度向上」や将来の「超知能」研究に向けられ、明確な収益モデルを欠いたまま巨額投資を続けている。
本稿では、メタが抱える3つの懸念材料を解説する。具体的には、AI収益化の遅れ、広告以外にイノベーターとしての実績がない点、データセンター投資を支える財務リスクだ。一方で、これらの懸念とは裏腹にウォール街のアナリストは楽観的だ。彼らは30%以上の上昇余地があるとして、強気な目標株価を設定している。
AI投資は収益化が焦点、メタは決算で出遅れ継続
米メタの株価は年初来で8%上昇したが、同期間のナスダックの22%高と比べると大きく見劣りする。この背景には、同社の第3四半期決算が、アマゾン、アルファベット、マイクロソフトなどとは異なる精彩を欠く内容だったことが挙げられる。人工知能(AI)データセンターへの巨額投資合戦の中で、メタはいまだ投資を意味のある収益につなげられていない。
米メタの株価はいま割安だといえるのだろうか? 投資家がメタへの投資を避けるべき理由は3つある。
・メタは、AI投資の収益化競争でアマゾン、グーグル、マイクロソフトに後れを取っている
・マーク・ザッカーバーグCEOはイノベーション面で目立った実績を欠いている
・メタはAI投資のために借入を拡大している
メタはAIへの投資を不可欠と位置づけている。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、ザッカーバーグは「超知能(スーパーインテリジェンス)」と呼ばれる人間の能力をはるかに超えるAIの実現には「さらなる支出が不可欠だ」と語っている。
同社はAI向け投資で得られる余剰の計算能力をコア事業の処理高速化に活用する方針だ。「もしスーパーインテリジェンスの到来が早まれば、当社は多くの巨大市場で世代を超える転換点を迎える理想的な立場に立てる」とザッカーバーグは述べた。
「到来が遅れた場合でも、余剰の計算能力で中核事業を加速させる。最悪の場合でも、構築中のインフラを活用しつつ、しばらく新規インフラ投資を抑えるだけだ」と付け加えた。



