関連事業を統合し、約306億円の価値を上積みへ
実際、ベイリーは近く、自身が関わる他の事業もカインドリーMD/ナカモト(NAKA、合併後の統合体)に編入する計画だ。対象は、ビットコイン・マガジン、ビットコイン・カンファレンス、アドバイザリー事業を傘下に持つBTC Inc.のほか、ヘッジファンド210k Capitalおよびベンチャー投資会社2140を運営するUTXOマネジメントなどだ。フォーブスの試算によれば、これらの事業を加えることで「ビットコイントレジャリー企業」である同社の企業価値は最大2億ドル(約306億円)上積みされ、現在3%にとどまるベイリーの持株比率も上昇する見通しだ。
運用資産が急増、約153億円から約612億円へ
ベイリーは、このフォーブスの試算へのコメントを控えたが、これらの黒字事業の利益をビットコイン購入に充てる計画という。関係者によると、UTXO傘下の210k Capitalだけで、1月以降に運用資産を約1億ドル(約153億円)から4億ドル(約612億円)へと4倍に増やしたという。
金融界の新参者であるベイリーの理屈は単純だ。マイクロストラテジーのマイケル・セイラーは60万枚以上ものビットコインを保有しており、もはや本業のビジネスをほとんど必要としていない。一方で、この分野の他の企業は「自身の存在を正当化するための差別化された戦略」が欠かせない。
「私たちは価値を生み出すことをしなければならない。実体のあるビジネスを運営することは、そのための手段の1つだ」とベイリーは語る。
カインドリーMD/ナカモト(統合体)の本社はユタ州ソルトレークシティにあるものの、ベイリー自身はプエルトリコのグアイナボの自宅を拠点としており、Zoomの通話では、燃えさかる銀行の巨大な絵画を背にしていることが多い。暗号資産アーティストのサイファーパンク・ナウによるその作品は、ベイリーが所有する数百点のコレクションの1つで、『Bank on Fire』と題されている。
「バンカーと打ち合わせをするときは、必ずこの絵を背景に映すんだ」とベイリーは笑う。ビットコインで“自分の銀行”を築こうとする彼にとって、これほどふさわしい背景は他にない。


