MLB選手で過去1年に最も多くのスポンサー契約を獲得したのは、マリナーズの捕手で今シーズンのアメリカンリーグ本塁打王に輝いたカル・ローリー(17件)だ。カブスのジャスティン・ターナー(16件)、マリナーズのフリオ・ロドリゲス(15件)、ドジャースのムーキー・ベッツ(12件)、ヤンキースのアーロン・ジャッジ(11件)、ニューヨーク・メッツのフランシスコ・リンドーア(同)、ドジャースのキケ・ヘルナンデス(同)がそれに続いている。
MLBが企業を引き寄せる理由
MLBはなぜこれほど多くのブランドや業界から広く支持を集めているのか。リンチによると、野球の強みは常にその堅実さ、安全性、家族との親和性にあるという。
MLBはシーズンの長さや試合数の多さを生かして、球場内でのプロモーション、スポンサー向けの優遇策、日々のメディア報道などを組み合わせた独自の露出機会を企業に提供している。この規模の露出機会を再現するのはほかのスポーツリーグには困難だ。MLBはまた、世代や国・地域の枠を超えて響き、アジアや中南米に広くリーチしている。この点でもほかのリーグは競合するのが難しい。
リンチは「MLBの最近の進化はじつに興味深い」とコメントしている。「MLBはかつてはビジネス面で非常に保守的でしたが、ピッチクロック(投球間の時間制限)のような取り組みによって試合を現代に合ったものにし、ファンのエンゲージメント(関わり合い)も向上させています。また、ヘルメットのブランディング(8桁=数千万ドル=規模の投資を誘致)やマウンド看板といった新たなスポンサー資産は、ブランドの新たな広告枠になっています」
リンチはこう続ける。「これも見落とされがちですが、野球はNFLとマーケティング予算を直接奪い合わないという点も重要です。シーズンが春から夏にかけてなので、ブランドは(秋から冬にかけての)フットボールシーズンでない時期に露出機会を得られます。NBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)やNHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)のシーズンがNFLや大学スポーツとかなり重なるのと対照的です。こうした季節的な棲み分けと、野球の生きの長さと柔軟さが相まって、MLBはスポーツスポンサーの分野で最も信頼性が高く、拡張性のあるプラットフォームのひとつになっています」


