1. バナナ
俗説に反し、バナナはアメリカ原産ではない(東南アジア原産)。しかし、1493年までにはすでに、ポルトガルの商人によって、北西アフリカ沖に位置するカナリア諸島に広まっていた。コロンブス以前の話だ。
伝えられるところによると、コロンブスは2度目の航海時に、バナナの吸枝(地中の株から伸びてくる子株)を持ち込み、それがカリブ海の湿潤な気候で繁殖したとされる。
欧州からの入植者が定住して数十年のうちに、バナナはアメリカの熱帯全域で主食となった。現地の自然環境に簡単に適応して群生し、在来種の植物に覆いかぶさるように繁茂した。そのバナナの末裔はいま、西半球で最も広く栽培されている農作物の1つだ。
2. 小麦
コロンブス2度目の航海に同乗した欧州人にとって、小麦は、単なる農作物という枠を大きく超える意味をもっていた。それどころか、文明そのものを象徴するものだった。パンは、欧州人の食生活や儀式に欠かせない要素の1つであり、彼らにとっては、小麦なしでは完全に定住したとはいえなかった。
コロンブスは、カリブ海諸国に小麦の種を持ち込んだ。ただし、熱帯特有の湿度のせいで、小麦の栽培を成功させるという希望は瞬く間に打ち砕かれた。それから何年も過ぎてから、小麦は栽培に適した温帯気候であるメキシコの高地とペルーの山間部に根付き始めた。
小麦の定着によって始まったのが、区画整理された欧州式農業だ。そして、森林を伐採して開墾し、単一栽培を行なって、在来の植物種を追い出してしまった。


